米で起きた「航空法革命」効果は絶大か!? 航空業界にとどまらぬ多数のメリット…そのポイントは?

アメリカでは小型機をめぐる操縦士免許と軽量スポーツ航空機の要件を中心に大規模な規制緩和が行われました。「MOSAIC」と呼ばれるこの新ルールの採用で、どのように変わるのでしょうか。

新ルール「MOSAIC」ポイントは?

 今回の改訂の大きなポイントのひとつ目が、「スポーツパイロット」免許の内容の変更です。スポーツパイロットに求められる主な要件として、17歳以上、英語能力、学科試験、飛行時間20時間以上の4項目については従来どおり維持されますが、この免許で操縦できる航空機の範囲が大きく拡大されるのです。

 従来は最大2座席、最大離陸重量600kg(水上機の場合は660kg)レシプロエンジン、最大速度120ノットなどの制限がありましたが、座席数に関しては最大4座(ただし搭乗者数は2名まで)とし、さらに最大重量制限は撤廃。ただし機体の失速速度はフラップを使用しない状態で59ノット以下と設定されます。

 この新しい条件を適用すると機数が最も多い4人乗り単発機のほぼ全機種、現行の小型機全体のおよそ70%が該当することになります。これは、新しいスポーツパイロットを育成するために使用できる訓練機の種類と数が格段に増えることを意味します。

 さらに、「軽量スポーツ機」の定義付けも大きく変わっています。そもそも従来の航空機では、新型機の開発と生産にはFAA(アメリカ連邦航空局)の型式証明と生産証明の二つの証明を取得することが必要で、これらは航空機メーカーにとっては大きな負担になっていました。これは旅客機でも同じで、三菱航空機の「MSJ(三菱スペースジェット。旧称MRJ)」もこれが障害となってつまずいてしまったことは記憶に新しいところです。

 軽量スポーツ航空機(以下LSA)はそれら二つの証明に代わってASTM Standardと呼ばれる工業規格を遵守していることを宣言する「適合宣言書(Statement of Compliance)」だけで済むことになります。これにより、証明取得に要していた時間と労力が大幅に節約できることになりました。これがLSAの大きなメリットですが、今まではLSAの機体重量や座席数、性能に大きな制約があったわけです。

 しかし、MOSAICの施行により、LSAに該当する機体の規模と種類が大きく拡大します。

 機体重量の制限が撤廃され(ただし、フラップを使用した状態で失速速度は61kt以下であること)、座席数は2座席から4座席へ拡大。最大速度は120ktから250ktへ緩和されます。とくに新たな最大速度はアメリカ国内で高度1万フィート以下を飛行する際の速度制限に等しいので事実上の速度制限も撤廃になります。引き込み脚、可変ピッチプロペラ、自動エンジン制御なども使用が可能になります。

 また動力源においても従来はレシプロエンジンに限定されていましたが、その条件も撤廃され、電動航空機も可能になりました。さらに固定翼の飛行機に限定されていたLSAですが、改定後は回転翼機やパワードリフト(eVTOL)機にも席数の制限こそあるものの、拡大されます。

 新たな適用範囲により、小型機として一番大量に生産されてきた4座席の単発機が軽量スポーツ機として生産が可能になります。さらに、従来と比較すると格段に緩和された手続きで生産できることにもなり、最新技術を投入した新型機の製品化も従来と比較して大幅に低コストで、しかも短期間で生産できることが期待されています。

 これは航空機産業にとっては新たなビジネスチャンスとなり、航空機の生産に他業種からの新規参入や資金流入にもつながるでしょう。

 機体の条件が大きく拡大されたことに伴い、LSAで行うことができる飛行目的も広がります。

 個人的に飛行を楽しむこと以外に、航空測量や航空写真撮影、バナー曳航と広告、グライダー曳航、パイプラインや送電線の監視、農地の監視、救助と捜索など業務目的の飛行が可能になります。これによりLSAを使用した新しいビジネスモデルが成り立つことになり、LSAを使用した事業に新たな企業の参入や投資家からの資金流入が期待できるほか、雇用の創出にも寄与するものと考えられています。

【写真】塗装が見たことある! これが「航空会社の訓練で使われるLSA」です

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コメント

2件のコメント

  1. 日本は、宇宙産業の構築が最優先ですよ!

    何でもかんでも🇺🇸アメリカの後をする必要は無い!

    航空産業は、不要です!

    宇宙産業構築に邪魔になります!

    ここは、日本としての道を行くべきです!

  2. LSAという規格ができてから、本当に魅力的な小型機が多数発売されてきた。

    コンポジット一体成型から昔ながらの鋼管羽布張りに至るまで、まさに百花繚乱。

    今回の規制緩和で、またそれに準拠した新しい機体も今後開発されるだろう。

    翻ってわが日本では同様のことがさすがには出来ないが、せめて横田の友好祭に来た

    カブクラフターぐらいの機体は大いに認めてやってくれないものか。

    横田には下駄履き(フロート付き)の機体が来たが、本場アメリカでは尾輪式でない

    前輪式のカブクラフターが開発されているそうだ。

    尾輪式の経験のないパイロット向けの市場調査の一環だそうだが、この機体には

    大変興味がある。

    こういう易しい機体に乗ってみたいものだ。

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