米で起きた「航空法革命」効果は絶大か!? 航空業界にとどまらぬ多数のメリット…そのポイントは?

アメリカでは小型機をめぐる操縦士免許と軽量スポーツ航空機の要件を中心に大規模な規制緩和が行われました。「MOSAIC」と呼ばれるこの新ルールの採用で、どのように変わるのでしょうか。

規制緩和が「優秀なパイロット教育」にもつながるかも

 さらに、MOSAICの施行では自家用パイロットがほぼすべての単発機(新しい定義のLSA)を操縦する際の身体検査要件も緩和されます。

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アメリカ製の水陸両用軽量スポーツ機(LSA)である「Searay」(細谷泰正撮影)。

 日中の有視界飛行に限り自動車運転免許を所持することで身体検査証明が不要に。夜間飛行を行う場合はFAA(アメリカ連邦航空局)の第三種身体検査証明もしくはベーシック・メディカル証明が必要になります。

 キットを組み立てた航空機に関しては、所有者が組み立て作業の51%以上を自分で行った場合、完成した機体の整備を自分で行うことができます。これは「51%ルール」と呼ばれる制度で、これがキット機を購入する強い動機となっています。今回の改訂により、講習を受けることですでに完成しているキット機を購入しても「51%ルール」を継承できるようになります。これにより中古キット機市場が一気に活性化することが予想されています。

 飛行学校においても変化が期待されています。

 アメリカでは航空会社へパイロットとして就職する場合、定期輸送パイロット免許などの資格以外に1500時間以上の飛行経験が最低限必要とされています。そのため、航空会社志望のパイロットは飛行教官として働きながら飛行時間を稼ぐことが一般的です。しかしそうした教官は十分な飛行時間を取得すると航空会社へ転職してしまうため、経験豊富な教官が慢性的に不足するという問題がありました。

 今回の航空法改正で予想されていることは、本業を引退した自家用操縦士の多くがスポーツパイロット・インストラクターとしてスポーツパイロットの育成という新たな副業に就くことです。

 当然、そのための資格、スポーツパイロット・インストラクター免許を取得する必要がありますが、経験を積んだ自家用操縦士にとっては比較的簡便に取得できる内容になっています。飛行訓練の現場では経験豊富なパイロットが若手の育成に当たることで訓練の質が向上し、次世代への飛行経験や飛行技術の継承が可能になると期待されています。

【写真】塗装が見たことある! これが「航空会社の訓練で使われるLSA」です

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コメント

2件のコメント

  1. 日本は、宇宙産業の構築が最優先ですよ!

    何でもかんでも🇺🇸アメリカの後をする必要は無い!

    航空産業は、不要です!

    宇宙産業構築に邪魔になります!

    ここは、日本としての道を行くべきです!

  2. LSAという規格ができてから、本当に魅力的な小型機が多数発売されてきた。

    コンポジット一体成型から昔ながらの鋼管羽布張りに至るまで、まさに百花繚乱。

    今回の規制緩和で、またそれに準拠した新しい機体も今後開発されるだろう。

    翻ってわが日本では同様のことがさすがには出来ないが、せめて横田の友好祭に来た

    カブクラフターぐらいの機体は大いに認めてやってくれないものか。

    横田には下駄履き(フロート付き)の機体が来たが、本場アメリカでは尾輪式でない

    前輪式のカブクラフターが開発されているそうだ。

    尾輪式の経験のないパイロット向けの市場調査の一環だそうだが、この機体には

    大変興味がある。

    こういう易しい機体に乗ってみたいものだ。