新幹線で“故障”相次ぐ! しばらく運休した路線/すぐ再開の路線、なぜこんなに違った? 実は“重篤”だった東海道
2025年6月の山形新幹線E8系に続き、8月には東海道新幹線N700Sが車両故障を起こしました。しかしその後、山形新幹線はE8系の複数編成の使用を中止したのに対し、東海道新幹線は基本的に平常運行を継続。この異なる対応には、どのような背景があったのでしょうか。
N700SとE8系の不具合とは?
2025年8月15日、東海道新幹線「こだま764号」(N700S)が岐阜羽島駅に到着した際、車両から発煙があったため、同駅で運転を見合わせて乗客を車外に避難させるという事案がありました。ここのところ新幹線のトラブルが相次いでいます。

記憶に新しいところでは、同年6月17日に東北新幹線で、回送列車が車両故障を起こし本線上に立ち往生しました。故障したのは山形新幹線の新形車両E8系で、複数の列車で同じ故障が発生したことも分かりました。
しかし、その後の対応は各社違います。N700Sは平常運行に戻りましたが、E8系は同系列の複数の編成が使用中止になりました。
今回の故障箇所は、N700Sが主変換装置のパワーユニット、E8系が補助電源装置でした。主変換装置は、車両を走行させるためのモーターに電気を供給し、補助電源装置は冷房や照明などの機器に安定した電気を供給しています。ちなみに、主変換装置やパワーユニットを動作させるための電源を「制御電源」と総称しますが、制御電源の電気も補助電源装置から供給されています。
装置の名前こそ違いますが、いずれも電気を変換する装置という点では機能が同じで、内部の構造も似ています。
E8系の補助電源装置の不具合は、装置を動作させる制御基板に大きな電流が流れ、周囲の温度が上昇して装置を正常に動作させることができなくなり、装置内の半導体素子が破損しています。
N700Sの不具合は、主変換装置内にあるパワーユニットの故障が発生した後も、パワーユニット内に過大な電流が流れ続けたため、主変換装置から発煙しています。さらに、過大に流れた電流を遮断できず、主変換装置よりも上位(パンタグラフ側)にある主変圧器も損傷しています。
E8系は補助電源装置のみの損傷ですが、N700Sは主変換装置と主変圧器の双方が損傷してしまい、故障のレベルではより重篤です。
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