「日本の戦闘機が初めて欧州に来ます!」イギリスが前のめりになる、もっともな理由とは? 白羽の矢が立ったF-15J

航空自衛隊のF-15戦闘機が初めてヨーロッパに展開する見込みだと、イギリスの国防相が発言。日英は安全保障面での協力を強化しており、今回の派遣は両国関係の新たな段階を示すものとなるかもしれません。

念頭にあるのはもちろん…

第二次世界大戦の終結後、世界各地に保有していた広大な植民地を失ったイギリスは、その後もアジア各地に軍隊を展開していました。しかし軍隊の展開がイギリス経済にとって重荷となっていたことから、1968年、イギリス軍が駐屯していたアラビア半島のアデンからの即時撤退と、1971年までにマレーシアとシンガポールから撤退することを決定。この決定は俗に「スエズ(運河地帯)以東からの撤兵」と呼ばれています。

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イギリスのジョン・ヒーリー国防大臣と中谷防衛大臣の会談(画像:防衛省)

これ以降、イギリスは安全保障の軸足を大西洋地域に置くことになったわけですが、21世紀に入ってこの姿勢に変化が生じます。その主軸にあるのは中国(中華人民共和国)との関係の変化です。

もともとイギリスは、1950年に他の自由主義陣営諸国に先駆けて中国を国家として承認し、1997年にはスエズ以東に唯一残っていた植民地の香港を円満に返還するなど、中国と良好な関係を築いていました。しかし、21世紀に入ってからの中国は、経済成長に伴って急速に質量ともに充実した軍事力を背景として「力による現状の変更」を試みる国へと変貌しています。

イギリスは伝統的に「法による支配」を重んじており、海洋の自由な利用によって最も恩恵を受けてきた国の一つです。このため中国の法に依らない現状の変更、とりわけ海洋の支配を試みる姿勢は、看過できるものではありませんでした。

ただ、現在のイギリスはスエズ以東に常時軍隊を展開しておらず、軍事力でプレッシャーをかけて中国をいさめることはできません。このためイギリスは密接な関係にあるアメリカ、オーストラリアなどとの連携を強化するとともに、法による支配や自由経済など、共通の価値観を持つ日本との安全保障面での協力強化を働きかけるようになりました。

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コメント

1件のコメント

  1. G-CAP のためには、F-15Jもいいけど、F-2もぜひ英、伊に見てもらってより理解してもらえる機会があるといいですね。