大赤字バス路線が異例の延伸、「県境越え路線」に大変身! 峠を“徒歩連絡”の周遊ルート完成!?

 岐阜県中津川市を拠点に路線バスを運行する北恵那交通が2025年10月1日から、新路線「中津川駅前~妻籠・南木曽駅」を開設しました。

 岐阜県中津川市を拠点に路線バスを運行する北恵那交通が2025年10月1日から、新路線「中津川駅前~妻籠・南木曽駅」を開設しました。県境をまたぐ路線バスが全国的に縮小するなか、異例の新設です。

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北恵那交通の路線バス。かつての鉄道車両の復刻塗装(画像:北恵那交通)。

 この路線はJR中央線(中央西線)中津川駅から坂下駅前(中津川市)を経て、長野県南木曽町の観光地「妻籠(つまご)宿」、さらに南木曽駅までを結びます。存続が危ぶまれていた「中津川駅~坂下駅前」の路線を延長し、運輸局の垣根(中部運輸局/北陸信越運輸局)を越えて県境をまたぐ路線となりました。

 異例の延伸の背景には、妻籠宿と馬籠(まごめ)峠を挟んで向かい合う「馬籠宿」(中津川市)の存在があります。

 古い町並みが残る両宿場町はインバウンドにも人気の観光地となっており、欧米の旅行者を中心に、旧中山道を歩いて峠を越える人が増えているそうです。北恵那交通が運行する中津川駅~馬籠宿の路線バスが、その主要アクセス手段となっているものの、長野県側の妻籠宿でバスの連絡がありませんでした。

 そこで、生活路線である坂下駅への路線を延伸させ、中津川と妻籠宿を直接結ぶ路線を確保。これにより、路線の維持だけでなく、「中津川駅前~馬籠」の路線バスへの集中によるオーバーツーリズム対策、さらに「中津川駅~馬籠~妻籠~南木曽駅」の周遊ルートを確保し、企画乗車券の造成などにもつなげる狙いがあるといいます。

 本数は妻籠方面行きが平日2本、中津川行きが同4本。土休日は4~5往復となります。中津川から妻籠・南木曽までの運賃は1400円です。

 馬籠宿のある旧山口村は、2005年に長野県南木曽町から岐阜県中津川市へ“越県合併”しましたが、その頃の馬籠線は別のバス会社が運行していたため、北恵那交通の長野県乗り入れは今回が初となります。

 ちなみに、北恵那交通はかつての北恵那鉄道(中津川~下付知)が1978年の鉄道廃止後にバス会社となった事業者で、名鉄グループに属します。名鉄バスもまた、名古屋~馬籠・妻籠の直通高速バスを運行しているほか、京王バスと名鉄バスが運行する中央ハイウェイバスの新宿~名古屋線も、中央道神坂PAに併設の「中央道馬篭」バス停に停車します。

【なるほど!】これが新登場の「県境越え路線バス」です(地図/画像)

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