「簡易的すぎるコインパーキング」なぜ増加? 未舗装 前払い式 ロープで区切っただけ…でも安い! 背景にある“事情”とは
最近、砂利敷きで料金前払いの簡易なコインパーキングが増えています。その背景には建設業界の事情、そして土地オーナーと駐車場運営会社のWin-Winな関係がありました。
まるで“野菜の無人販売所”? 簡易型コインパーキング増加のワケ
クルマでのお出かけに便利な街中のコインパーキング。その構造は、舗装された敷地に区画が切られ、クルマの入庫および料金の精算で上下する「フラップ(ロック板)」が設置されているのが一般的です。最近では入庫時にナンバーをカメラで読み取り、精算を確認すると開くゲートを備えたものや、そもそもフラップやゲートがなく、カメラで入庫や精算を監視するタイプも増えてきました。

ところが最近、より簡易な構造のコインパーキングが増えていることをご存じでしょうか。それは「敷地が未舗装の砂利敷き、区画は埋め込みのロープで区切っただけ、料金は前払い式でフラップやゲート式、場合によっては区画を監視するカメラもない」といった特徴があるコインパーキングです。
もちろん未払いの場合「料金を追って徴収」する旨の警告はあるものの、いわば田舎の「野菜無人販売所」のようなもので、お金を払うかどうかは利用する人の良心に任されているようにも思えます。そうした方式が、なぜいま増加しているのでしょうか。
その背景には、昨今の建設業界をとりまく深刻な事情があると考えられます。
たとえば「大阪・関西万博」では、開幕前に人手不足と資材高騰からパビリオンの建設を請け負う業者が決まらず、「開幕に間に合うのか」という状況に陥りました。また東京・新宿駅西口で進められている再開発プロジェクトでも、やはり施工業者が見つからず、工期が未定となっています。
こうした問題は、大規模プロジェクトだけでなく、街中のアパートやマンション建設にも影響しています。そのためあちこちに「更地にはなったけれども、工事を請け負う会社が決まらず、そのままになっている土地」が見られる状況なのです。
もちろんこうした土地が、短期間であっても“遊んでしまう”ことは、地主にとっては頭の痛い問題です。
この問題に着目したのが、駐車場運営会社でした。つまり遊休地を「数か月でもOK」という条件で一括で借り上げ、そこに簡易型コインパーキングを地主の負担なしで整備するというビジネスモデルを開発したのです。
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