防御力ダメダメ戦車がまさかの無双! スグ使えることに特化した「コンパクト戦車」英国で生まれたワケ
戦車ほど防御力も火力も強くないけれども、装甲車や歩兵にとっては厄介な存在なのが、軽戦車です。では軽戦車のメリットは何かというと即応性の高さです。それが最大限発揮されたのがフォークランド紛争でした。
45年前の離島奪還作戦で無双!
「スコーピオン」に期待された役割は、戦略的即応性でした。母国であるイギリスは、2度の世界大戦を経て多くの植民地を失いましたが、それでも世界各地に重要な権益や領土を維持していました。

そうした海外領土で何かあった際に即応可能なAFVの役割を「スコーピオン」に期待したのです。そのため、最初からC-130輸送機などで空輸できるサイズと重量で設計されたのです。
この戦略的即応性が存分に発揮されたのが、1982年4月に勃発したフォークランド紛争でした。この戦争で注目を集めたのは、アルゼンチン空軍が使用してイギリス艦隊に大損害を与えた空対艦ミサイル「エグゾセ」や、イギリス軍が投入した垂直離着陸が可能な戦闘機「ハリヤー」などで、新兵器が活躍した海の空の戦いに目が行きがちです。しかし、紛争を決着させたのは地上戦でした。
5月中旬、イギリス軍は東フォークランド島のサン・カルロスに上陸を開始します。そして、この上陸部隊の一員として投入されたブルース・アンド・ロイヤルズ王立近衛騎兵連隊のB中隊が、「スコーピオン」軽戦車4両と、同じ車体ながら30mm機関砲を搭載した「シミター」偵察戦闘車の4両を装備していました。これら8両が、同紛争に投入された唯一のAFVとなりました。
さすがに敵軍が占領する孤島への空輸は不可能でしたが、貧弱な港湾施設でも揚陸できる「スコーピオン」は、海兵隊およびパラシュート連隊と行動を開始。5月28日からのグースグリーンの戦いでは、榴弾を使ってアルゼンチン軍陣地を制圧し、友軍歩兵の占領を支援しました。また6月11日からの山岳拠点攻撃では、「スコーピオン」が照明弾を撃ち上げてイギリス軍の夜襲を成功に導いています。
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