「横断歩道で車が止まってくれる率」過去最高56.7%に←よく今まで事故起きなかったね… JAF調査から見える「歩行者の自衛/運転者の怠惰」

歩行者が横断歩道を渡ろうとしている時、クルマは一時停止するのでしょうか。JAFの全国調査で、停止する車両の割合が過去最高を記録しましたが、依然として約4割は止まらない実態が明らかになりました。

「横断しようとしているのかわかりにくい」と言うドライバー

 調査は、各都道府県2か所ずつ、全国合計94箇所の信号機が設置されていない横断歩道で、目視で行われました。調査場所は、センターラインのある片側1車線の道路です。道幅は片側2.75mから3.5m、交通量は1分あたり3台から8台ほどで、制限速度が40km/hから60km/hの場所で、ゾーン30のような生活道路ではなく、事故被害が深刻になることが想定されるポイントが選定されています。

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猛スピードで横断歩道を通過するクルマのイメージ(画像:写真AC)。

 JAF職員が被験者となり、横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングを統一しました。1か所あたり50回、2か所で計100回の横断を繰り返し、一時停止した回数を調査しました。

 結果は前述の通り、全国平均は56.7%が一時停止を行っていますが、地域によってかなりばらつきがあります。おおむね交通事故死者数が多い都道府県ほど一時停止率が低い傾向が見られますが、交通事故には地域的特性も影響するため、明確な相関関係があるとは言えませんでした。

 たとえば2025年10月29日現在、交通事故死者数の多いほうから5都道府県の人数と(JAF調査に基づく)一時停止率は、以下のようになっています。

・東京都(114人 44.2%)

・神奈川県(106人 62.8%)

・北海道(102人 38.1%)

・大阪府(96人 35.5%)

・千葉(95人 48.4%)

 一時停止率で全国平均を上回っているのは、神奈川県だけです。同県では死亡事故の状態別で、歩行中と同率でバイク乗車中の事故が多く、これが死者数の高止まりにつながっていると考えられます。

 一方、JAFの調査結果を見ると、全国で一時停止率が最も高いのは長野県(88.2%)で、毎年、良好な結果をたたき出しています。同県の死亡事故死者数は33人で、全国で25番目です。その逆に全国でいちばん止まらないのは山口県(34.3%)。10月29日現在の死者数は28人、30番目です。ただ、山口県県民生活課の事故分析によると、約40%の死亡事故は交差点で起きているため、JAFの調査結果に楽観はできません。

 横断中の歩行者妨害について、「横断しようとしているのか否かがわかりにくい」「歩行者が渡り切るのを待っていると、信号が変わってしまう」といった厳しい意見を持つ運転者もいます。ただ、歩行者優先の場所なので、運転者の過失はより厳しく問われます。

 何より交通弱者を守るという視点から、渡ろうとする歩行者の存在にかかわらず、横断歩道を通過する際には、より一層の注意を向ける必要があります。

【え…!】横断歩道で最も車が停まらない「ワースト県」はここだ!(画像)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

1件のコメント

  1. <<全国で最も停止率が低いのは沖縄県(36.9%)

    間違ってますよ。停止率の最低は、山口県(34.3%)ですよ。