「2年という期間はあまりにも短い」 ANA系「コスパ最強航空」なぜ短命に? 「乗れば分かる良さ」を活かし切れなかった“苦渋の決断”の要因
「事業性を見るには2年という期間はあまりにも短い」―。ANAグループの航空会社「AirJapan」が運航開始からわずか2年で運航休止となりました。にもかかわらず、なぜ休止という結果になったのでしょうか。
実は「FSC超えの座席」?
ANAグループの航空会社「AirJapan」が、2026年3月末をもって運航を休止します。同社はANAグループの“第3ブランド”として2024年に運航を開始しました。ANAホールディングスの芝田浩二社長も「事業性を見るには2年という期間はあまりにも短い。しっかりと当初目標としていた訪日需要は取り込んできましたし、コストマネジメントもしっかり実現できました」と評価しています。にもかかわらず、なぜ休止という結果になったのでしょうか。
AirJapanは、これまでANAブランドとして短・中距離国際線を担当してきた傘下の航空会社「エアージャパン」を母体に誕生しました。機体はANAグループで使用していたボーイング787-8型機を改修し、成田からソウル、バンコク、シンガポールの3路線で運航。LCC(格安航空会社)水準の基本運賃に加え、手荷物預けや座席指定、ドリンク・機内食などを都度“課金”方式で選択するという、利用者のニーズに応じた柔軟なサービスを特徴としていました。
機内は1クラス構成で、機内モニターも廃止。外見上は典型的なLCCのように見えますが、実際には「安いけど狭い」といった一般的なLCCの印象とは異なり、快適性を重視していました。シートピッチ(座席の前後間隔)は32インチ(約81cm)と、一般的なエコノミークラスを上回る水準。リクライニング角度も約6インチと余裕がありました。また、機内エンターテインメントは自分のスマートフォンを接続して楽しめる仕様で、利便性も確保されています。
設備面で見ても「フルサービスキャリアのエコノミーを上回る快適性」すら持っていたといえ、筆者のまわりの業界関係者の間でも、特に座席周りの評判は非常に良好でした。ただし、その強みは広く知られることなく、幕を下ろすこととなったわけです。
ANAホールディングスによると、AirJapan運航休止の主因は「マルチブランド戦略の見直し」としています。





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