事故が“半分以下”に減るのに…「夢の交差点」 なぜ日本では普及しない?

欧米では信号機のない環状交差点「ラウンドアバウト」が普及しています。安全性の高さや災害への強さが利点である一方、日本では導入が進んでいるとは言えません。何が課題となっているのでしょうか。

「東日本大震災」を機に導入開始も…

 ヨーロッパ地域などの道路では、信号機のない環状交差点「ラウンドアバウト」が普及しています。安全性の高さや災害への強さが利点である一方、日本では2025年現在、導入は進んでいると言えません。何が課題となっているのでしょうか。

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栃木県大田原市に整備された「ラウンドアバウト」の例(画像:国土交通省)

 ラウンドアバウトは一般的な十字形状の信号交差点とは異なり、中心部分に設けられた円形の道路を、一方向に周回しながら通行するタイプの交差点です。1970年代以降、ヨーロッパやアメリカで普及し、今では広く一般化しています。

 その最大の特徴は、安全性の高さです。構造上、通行する車両は速度を落とさざるを得ないことや、車両同士が交錯する地点が、従来の信号交差点より圧倒的に少ないことが、事故の発生を抑えています。

 警察庁の統計によると、ラウンドアバウト導入後の交通事故発生件数は、年間で約6割減少しています。特に死亡・重傷事故については、導入されてから1件も発生していない(2021年度時点)というデータもあります。

 また、ラウンドアバウトは信号機を設置しなくても運用できるため、停電が発生しても問題なく通行が可能です。日本では東日本大震災をきっかけに、災害に強いラウンドアバウトを整備するための検討が加速。2014年に道路交通法が改正され、本格的な導入が始まりました。

 その一方、日本で整備されたラウンドアバウトの数は、2023年3月末時点で全国155か所。限定的な導入にとどまっているのには、いくつかの原因があります。

【挑戦的…!】これが一番”都会”の「日本版ラウンドアバウト」です(写真で見る)

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