事故が“半分以下”に減るのに…「夢の交差点」 なぜ日本では普及しない?

欧米では信号機のない環状交差点「ラウンドアバウト」が普及しています。安全性の高さや災害への強さが利点である一方、日本では導入が進んでいるとは言えません。何が課題となっているのでしょうか。

そもそも“日本の道路”に向いてない?

 まず課題となっているのが用地の確保です。ラウンドアバウトはもともと広い面積を必要とする構造で、トラックやバスなどの大型車が通行することも考慮した場合、環状部分の直径は36m~40mほど必要となります。しかし都市部をはじめ、すでに多くの建物が密集している日本において、このように広大な用地はなかなか取得できません。

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大分県宇佐市の「ラウンドアバウト」(画像:国土交通省)

 また、ラウンドアバウトは許容できる交通容量が低く、キャパシティを超えた際には、効率が一般的な交差点以下まで落ちる欠点があります。国土交通省ではラウンドアバウトの整備条件として、1日の総流入交通量が1万台未満という目安を設けています。ところが日本の都市部では、主要な交差点の多くがこの基準を超過しているため、そもそも導入ができないのです。

 さらに日本は欧米に比べ、歩行者や自転車の通行が多いことも問題です。ラウンドアバウトは、車両だけの通行ならばノンストップで通過できますが、横断交通も過密な日本では現実的な運用形態ではありません。

 これらの要因から、日本におけるラウンドアバウトの整備事例は、交通量の少ない住宅地などに限られています。数が少ないことから、ドライバーへの通行ルールの周知も進んでおらず、初めて利用したドライバーを混乱させる、悪循環も生んでしまっているのが現状のようです。

【挑戦的…!】これが一番”都会”の「日本版ラウンドアバウト」です(写真で見る)

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