日本の「水陸機動団」発足→メディアが“日本版海兵隊”と報道…それ本当!? 勘違いされているかも「海兵隊」の意味

2018年、陸上自衛隊に「水陸機動団」が発足したとき一部のメディアは「自衛隊に海兵隊が発足」と、大々的に報じました。そもそも海兵隊とはどんなものなのでしょうか。

実はアメリカ海兵隊の規模がおかしいだけ?

 そもそも、アメリカ型の海兵隊は、その規模と任務の広さにおいて、世界的に見ても類を見ない存在です。

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イギリス海兵隊のスナイパー(画像:パブリックドメイン)

 多くの国では、イギリスやイタリアの海兵隊のように海軍の傘下で緊急展開部隊の一つとして活動しているか、あるいはフランスのように陸軍傘下で上陸作戦を専門とする部隊として存在しています。これらの部隊は上陸戦のほか、山岳戦や極地戦にも対応できる特殊部隊的な性格を持っています。

 また、ロシアやスウェーデンなどの海兵隊は、海軍隷下にありながら上陸よりも沿岸防衛に特化しています。沿岸砲や地対艦ミサイルを装備し、敵の侵攻を海岸線で食い止める役割を担っています。

 いずれの国でも、海兵隊の兵力は多くても1万人前後であり、アメリカ海兵隊のように単独で敵地に上陸し、占領・維持できる規模ではありません。

 陸上自衛隊の水陸機動団も約8,000人程度とされており、外征部隊というよりは、各部隊と協力し、敵に制圧された離島を奪還するための専守防衛型部隊といえます。

 ただし、例外的に韓国海兵隊だけは海軍隷下にありながら、独自の指揮系統を持つ準独立組織です。兵力も約3万人と大きく、朝鮮半島で有事が発生した際には、北朝鮮西岸や東岸に上陸して背後を突く「殴り込み部隊」としての役割を想定しています。その性格はアメリカ海兵隊に極めて近く、創設時から米海兵隊を手本にしてきました。

 水陸機動団の発足に際し、「日本にも海兵隊ができた」と報じたメディアが、どのような海兵隊を想像していたのかは分かりませんが、アメリカ海兵隊や韓国海兵隊とはそもそもの役割が根本的に異なることは明らかです。

【画像】え、空軍じゃないの!? これが、海兵隊の大型装備です

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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