「なぜ鉄道じゃない?」 葛飾区「新金線」がBRTに決まった理由 “LRT(路面電車)との違い”はドコ?
東京都葛飾区の貨物線「新金線」の旅客化計画でBRT導入の方針が固まりました。LRTとよく比較されますが、コストや性能、「向き不向き」などの違いはあるのでしょうか。
コストか? まちづくりか? LRTとBRTの「向き不向き」
LRTとBRTのどちらが都市に適しているかは、重視するものによって変わります。
コスト面ではBRTが圧倒的に有利です。整備費用はLRTの10分の1程度ともいわれ、車両価格もバスのほうが安価です。
速達性や定時性は、専用走行空間を確保すれば両者に大きな差はありません。輸送力も、LRTは車両連結、BRTは連節バス導入や高頻度運行で、同等水準を実現できます。
運行の柔軟性でもBRTに軍配が上がります。専用道から一般道へ乗り入れ、郊外の住宅地まで直通できるのはBRTならではの強みです。「ひたちBRT」では、廃線敷の専用道と一般道を組み合わせ、工場や学校へ直接乗り入れています。
環境負荷では、走行時に排出ガスゼロのLRTが有利ですが、BRTもEVバスなどの導入で改善可能です。
まちづくりへの影響力では、LRTが優位とされています。軌道という恒久的インフラは都市のシンボルとなり、沿線への投資を誘発しやすいからです。しかしBRTも、まちづくりと一体的に整備する例が増えています。
まとめると、LRTは初期投資は大きいものの、都市の骨格を変える力を持つ「都市構造改革型」の選択肢です。一方、BRTは低コストと柔軟性を武器に、特定の交通課題を効率的に解決する「課題解決特化型」のシステムといえるでしょう。
BRTと一口に言っても、国土交通省はその特性から「高い輸送力」「高い速達性・輸送力」「観光需要等に対応」「高い速達性」の4タイプに分類しており、都市の課題に応じて最適なシステムを構築できるのが特徴です。
LRTとBRTのどちらを選ぶかは、その都市が目指す将来像と解決したい課題によって決まるのです。





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