「速く走らせたい」なんて思えないスポーツカー!? それが“快感!” 乗ってわかった新型プレリュードの“人柄”
6代目となるホンダ「プレリュード」が発売されました。久々の復活はSNSなどで話題を呼びましたが、単なる懐かしさだけでなく、ホンダが新投入したメカニズムについても注目のポイントです。実際に乗ってチェックしてみました。
「闘争心」より「気持ちよさ」で走る2ドアクーペ
足回りについてですが、サスペンションは「シビックタイプR」のものをベースに、より快適性を重視した方向性へと味付けされています。前述の走行モードに合ったフィーリングを実現する「アダプティブダンパー」なども採用されており、さまざまなシチュエーションに適した乗り味を実現しています。
実際に標準モードとして設定されている「GT」モードで走行してみると、近年の2ドアクーペとしてはコンフォート性能が高く、乗り心地重視といった印象です。ただ、一般公道のやや荒れたアスファルトを走行すると、細かな路面の凹凸が伝わるのが気になりました。
サスペンションの良し悪しというよりは、タイヤで硬さが出ているという感触でした。開発陣に聞いたところ、「当初想定していたよりも、車重が軽く仕上がっている」とのこと。最終的な車重を考えると、よりマッチしたタイヤがほかにもありそうな気がしました。
ただ、ワインディングでは意のままに曲がっていくことができ、コーナーを走るのがとても気持ちいいのが印象的です。荷重がどこに掛かっているのかがよく伝わってくるうえに、ブレンボ製のブレーキもコントロール性が高いです。それでいて、クルマがキッチリと踏ん張っているような安定性の高さも印象的で、リラックスしてワインディングを駆け抜けていくことができました。
プレリュードは、サーキット志向の強い本気のスポーツカーとは、違った良さがあると思わせてくれるクルマでした。
ワインディングやクローズドコースを走っていても、「このクルマを速く走らせたい!」というような、一種の闘争心は特段湧きません。そうではなく、リラックスした気持ちでステアリングを握り「イメージ通りに気持ちよくコーナーを曲がりたい」と思っている時間が、ほとんどでした。
2ドアクーペだけど、速さだけじゃなく、さまざまな乗り味を1台で体現することで、移動の運転を楽しませてくれる新型プレリュード。“スペシャリティカー”とはどんなクルマなのか、改めて思い出させてくれる1台でした。
Writer: 西川昇吾(モータージャーナリスト)
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体、ファッション誌などで、新車情報からカスタムかー、旧車、カーライフお役立ちネタまでクルマに関して幅広く執筆。自身でのレース活動も行っている。




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