もう40年選手!? 「国鉄生まれ」の近郊形電車、長生きの秘訣とは? 遅れて登場した“スッゲー!!”車両も

国鉄時代に製造が始まり、JR化後も運用が続いている鉄道車両は数多くあります。その中でも登場40年目の211系電車は、話題に事欠かない車両です。三岐鉄道や流鉄に譲渡され、今後も活躍を続けるであろう「名車」のこれまでと今を紹介します。

インパクト大だった2階建てグリーン車

 211系は、座面に一人分ずつのくぼみがついた「バケットシート」を採用しました。クロスシートは座席間隔1490mmのボックスシートで、筆者(安藤昌季(乗りものライター)が初めて座ったとき「クッションも座席形状も良い座席」と感激した覚えがあります。2025年に中央本線211系で同じ座席に座ったときも印象は変わらず、JR化後の近郊形・通勤形を含めてもトップクラスのボックスシートだと感じています。ロングシートも腰の収まりが良く、好みです。

 グリーン車の平屋構造は113系と同じですが、簡易型ではないリクライニングシートが採用され、大きな背面テーブルもあり、特急の普通車を上回るグレードに感心しました。

 ちなみに1989(平成元)年に投入された2階建てグリーン車は、当時としてはとてつもないインパクトがありました。2階建て車両自体が100系新幹線や近鉄特急「ビスタカー」くらいしかない時代に「グリーン車のうちの1両を置き換え、大量に見かけるようになった」からです。座席も平屋グリーン車と若干異なりますが、完成度は高いものでした。

 現在の2階建てグリーン車と大きく異なるのは側窓で、横引きカーテンでした。筆者はロールカーテンより視界が広い横引きカーテンが好きで、211系グリーン車が来た時は喜んで迎えました。ほぼ同じ構造をした113系用のサロ124・125形は、後に改造されて211系に編入されていますが、2階建てグリーン車2両が並んだインパクトも大きなものでした。

JR東海から引退した211系の「その後」

 827両が製造された211系も、JR東海で2025年3月に全て引退するなど淘汰が進んでいます。製造時のグリーン車組み込み15両編成はすでにありません。それでも、JR東日本の両毛線や上越線、吾妻線、信越本線、中央本線などで今なお活躍しています。

 しかし、JR東日本は2026年度以降に、211系をE131系に置き換えるようです。置き換えられる6両編成には、初期型のセミクロスシート車が含まれており、乗り収めとなりそうです。

 なお、JR東海の211系5000・5600番台は三重の三岐鉄道に譲渡され、2025年5月に5000系として運用を開始しました。また、千葉の流鉄にも同じく211系6000番台が譲渡され、現在営業運転に投入するための改造を進めています。211系の歴史は、まだまだ続くことになりそうです。

【懐かし!】211系の「平屋」「2階建て」グリーン車車内を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

2件のコメント

  1. この車体構造、台車が北から南までJR全社に採用されたのは凄い!

    2000、3000番台は東海ではなく東日本の誤りです。

  2. 東海地区には2000、3000番台はありません。

    東海地区には、0番代名古屋地区用のボックスシートのセミクロスシート仕様4両編成2本が1986年に投入され、JR東海になってからは3、4両編成の5000番台(長距離用クハ210形5300番台、狭小トンネル用クモハ211形5600番台含む)と、213系5000番台の足回りを持つ2両編成の6000番台が投入されました。なお、0番代は途中で120キロ運転が可能な仕様にされ、土日などに311系、313系に混じって新快速にも使用されました。これの内装が関東っぽさがあって、異彩を放っていました。一方、5000、6000番台はJR東海らしさにあふれる改良がなされ、随分と洗練されていました。

    最後に、JR東海311系は211系の車体をベースに、213系の2連下降窓と転換クロスシートを組み合わせ、より洗練されたマスクを与えられて誕生しました。また211系の車体断面が、JR九州の特急783系ハイパーサルーンにも採用されており、基本構造の優秀さがうかがいしれます。