「電気機関車が牽く客車列車」の歴史に幕――“死神”が牽いたJR東日本「最後の列車」に乗る 幹部が明言した機関車の今後

JR東日本が電気機関車の旅客列車運用に幕を閉じました。残念がる愛好家らが押しかけましたが、他の用途で使われる可能性はあるのでしょうか。

これにて電気機関車「旅客列車からサヨナラ」

 JR東日本新潟支社は2025年11月24日、国鉄時代の1960年代に登場したベテランの電気機関車(EL)2機種を、12系客車の前後に連結してプッシュプル形式で運転する臨時快速「ありがとうEL号」として運行しました。

Large 20251128 01

拡大画像

EF81形を先頭に走るJR東日本の臨時快速「ありがとうEL号」が東三条駅を通過する様子(大塚圭一郎撮影)

 旅客営業から退役したのは新潟車両センターに所属する電気機関車のEF81形とEF64形で、これはJR東日本が擁する従来型電気機関車の「旅客列車としての営業運転終了」の節目となりました。信越本線の長岡(新潟県長岡市)―新津(新潟市)間を2往復し、車内は満員となり、沿線には大勢の「撮り鉄」が押し寄せました。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)は乗車するとともに、これらの電気機関車を旅客列車以外で運用する可能性をJR東日本幹部に尋ねました。その回答は極めて明確でした。

 交直流両用電気機関車のEF81形は、50ヘルツおよび60ヘルツの交流電化区間と、1500ボルトの直流電化区間にまたがる北陸本線や信越本線、羽越本線などの通称「日本海縦貫線」を直通運行できるように開発されました。本州と九州の広範囲の地域で旅客列車と貨物列車を牽引し、寝台特急の「日本海」(大阪―青森)や、ともに上野―札幌間を走った「北斗星」と「カシオペア」の先頭にも立ちました。新潟車両センターには1979年製の140号機が残っています。

 一方、直流電気機関車のEF64形は優れた粘着性能が特色の「山岳路線のエキスパート」(JR東日本)で、中央本線や篠ノ井線、上越線などの急勾配がある路線で客車や貨車を力強く引っ張る勇姿が見られました。寝台特急「あけぼの」(上野―青森)や「北陸」(上野―金沢)などを牽きました。

 うち新潟車両センターに残っているEF64形の1030~32号機の3両は「死神」というありがたくない俗称を付けられています。これは引退した電車を引っ張って解体する工場などへ運ぶ廃車回送の役割を担ってきたためです。

 これら3両は「双頭連結器」を装備し、機関車や貨車とつなぐ時に使う「自動連結器」のほか、自走できる車両とつなぐ時の「密着連結器」にも対応できる特性を持っています。このため廃車回送に用いられ、新車回送でも活躍してきました。

【撮り鉄も大集結!】これが電気機関車牽引「最後の旅客列車」の様子です(写真)

最新記事

コメント