「スカイラインGT-R」だったよね? さらば日産「GT-R」 別々の車種に“ならざるを得なかった”ワケ

日産が歴代「GT-R」の展示イベントを開催。好評のため、R35型の展示のみ延長すると発表しました。「スカイライン」から独立したモデルとなったR35型ですが、そもそもなぜ、「スカイラインGT-R」として開発されなかったのでしょうか。

「スカイラインであること」が制約に…?

 R32型スカイラインGT-Rは、基本設計を全面的に刷新したスカイラインをベースに、排気量2.6Lで直列6気筒ツインターボの「RB26DETT」型エンジンを搭載。駆動力配分を可変制御する4WDシステム「アテーサE-TS」も採用し、国内レースを席巻しました。

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「スカイラインGT-R」としては最終モデルとなったR34型(乗りものニュース編集部撮影)

 ところが、GT-Rを基幹としたR32型スカイラインは、走行性能を追求するために後席やトランクスペースを犠牲にしていました。これは企画段階で意図して設計された車両パッケージングでしたが、それまでスカイラインをファミリーカーとして購入してきた多くのユーザー層からは、反発も少なくありませんでした。

 そこで、後継の9代目スカイライン(R33型)はボディサイズを拡大し、実用性を改善。しかし、今度は「走りの性能がスポイルされた」とファンから反感を買い、特にGT-Rはバッシングに晒されました。

 結局、GT-Rは10代目スカイラインベースのR34型(1999~2003年)で、再び生産終了に。量販セダンとしてベースとなるスカイラインの実用性を維持することが、いつしかGT-Rを開発するうえで大きな制約になっていたことが伺えます。

 その後、日産は経営危機からの回復を経て、2001年に11代目スカイライン(V35型)を発売しますが、そのラインナップにGT-Rの姿はなく、GT-Rはスカイラインと独立した設計のモデルとして開発が進められることになりました。

 そして、2007年の東京モーターショーでお披露目されたR35型の市販モデルは、GT-Rブランドを復活させるとともに、スカイラインを基本に設計する制約から放たれたことで、海外の高級スーパーカーと並び立つ性能を手にしました。その一方、R35型は静粛性や積載性といった実用面でも高い評価を受け、また発売時には777万円という低価格も実現し、国内外に衝撃を与えました。

 それからR35型はアップデートにより熟成を重ね、18年間にわたって第一線の性能レベルを維持。世界各国のレースでも活躍し、GT-Rの名に恥じない名声を築いていきました。

 歴代モデル計15台の展示イベントが行われた2025年11月の3連休には、日産本社に多くのファンが来場。会場に設置された大型メッセージボードは、GT-Rファンが綴ったさまざまな感謝の声で埋め尽くされました。

【計15台が勢ぞろい!】これが展示された「歴代GT-Rです」(写真で見る)

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