「ソ連の裏庭に姿見せてやれ!」米国による “名誉挽回の大作戦” その背景とは?「世界初の原子力潜水艦」誕生秘話
1950年代、アメリカは世界初の原子力潜水艦として「ノーチラス」を就役させます。こうして新兵器を手に入れたアメリカは、宇宙開発競争で優位に立っていたソ連を見返そうと、乾坤一擲の一大作戦を実施しました。
世界初の原潜が生まれたキッカケとは?
昨今、日本でも改めて保有の是非で話題に上がっている原子力潜水艦。略して「原潜」と呼ばれるこの種の軍艦が誕生したのは1954年9月のこと。世界初となったのが、アメリカ海軍の「ノーチラス」でした。
それまでの潜水艦といえば、その運転に大気の吸排気が必要なディーゼルなどの内燃機関を用いて浮上航行し、蓄電池に充電するとともに圧縮空気タンクにも空気を充填。潜航すると、吸排気が不要の電動モーターで航行しました。ゆえに電力や空気が尽きれば充電や充填のため浮上しなければならず、厳密には「潜水艦」ではなく「可潜艦」と呼ぶべき存在でした。
そこでアメリカ海軍は、第二次大戦終結から1年後の1946年、核分裂エネルギーを軍艦の動力に利用できないか研究を開始します。しかし当時は、核の軍事利用=原子爆弾というイメージであり、それが軍艦の動力に使用可能だと理解できる人材は専門家ぐらいしかいませんでした。
そのひとりが、技術士官で国立原子エネルギー研究所に勤務していたハイマン・ジョージ・リッコーヴァー海軍大佐でした。彼は同研究所に勤務する多くの研究者との検討を経て、核分裂エネルギーを船の動力に用いることは可能という結論を得ており、これを用いれば「可潜艦」ではなく、常に潜航していられる「本物の潜水艦」が造れると考えます。
そこでリッコーヴァーは、当時の海軍作戦部長チェスター・ウィリアム・ニミッツ・シニア元帥に直訴したところ、かつて潜水艦乗りだったニミッツはリッコーヴァーの提案の価値を理解し、海軍原子炉部を設立して彼を責任者に据えたのです。





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