「これって偽ベスパ…?」松田優作の劇中バイクそっくりの“スズキ!?” 実は海外でも高評価だった原付とは?

1981年に発売されたスズキのジェンマですが、その外見から「和製ベスパ」と呼ばれることもありました。ですが、世界的に高い評価を得ていました。

実は欧州で評価を得たジェンマ

 ところで、ジェンマは国内でこそ「和製ベスパ」と揶揄されることがありましたが、世界的には高い評価を得ていました。

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実はジェンマはイギリスなどでも販売され、評価を得た(当時のカタログより)

 ジェンマの50ccモデル、ジェンマ80、ジェンマ125は、ベスパがよく浸透していたイギリスなどへRoadieの名で輸出。一時期はベスパと並んで走っていました。

 また、スズキと資本提携していたオーストリアのメーカーが、同じくジェンマの50ccモデル、ジェンマ80、ジェンマ125をPuch Lidoの名前でオーストリア、西ドイツで販売した時期もありました。

 このように、見た目こそベスパっぽくとも、その機能性によって海外でも認められたのがジェンマだったというわけです。

 スズキにとって「スクーターの代表作」でもあったジェンマは、初代登場から10年後の1991年にシリーズモデルは全て生産終了になります。ですが、2008年発売のジェンマUL250によってその冠が復活します。かつてのジェンマとの設計の関連はないものの、当時のマキシスクーター市場では相応の存在感を放ちました。

 複数のマイナーチェンジや、2010年のリコール騒ぎなどがあり、結果的には2013年までの5年間で生産終了し、ジェンマの名は再び姿を消すことになりました。

 顧みれば、1980年代初頭のホンダ・ヤマハの間での激しいシェア争いだった「HY戦争」の陰で、スズキは独自の地道な開発を続けました。特にスクーター市場でシェアに食い込もうとし、ジェンマは国内外で相応の評価を得たといえます。

 見た目こそ「和製ベスパ」ともいえるジェンマですが、その中身はスズキの実直な開発力が投影され続けたシリーズです。今改めて評価されるべき、れっきとした「日本製スクーター」のように思います。

【似すぎだろ!?】これが「ジェンマ」シリーズと「ベスパ」です(画像)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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