世界標準は「縦」なのに…なぜ日本の信号は「横」? 国内には“縦メイン地域”も! 理由が深かった
私たちが日常的に目にする「横型」の信号機。実はこれ、世界的に見ると少数派で、欧米などでは「縦型」が主流です。なぜ日本は横型を採用し、そして豪雪地帯だけは縦型なのでしょうか。
豪雪地帯が「縦型」を採用する切実なワケ
日本国内でも、世界標準と同じ「縦型」の信号機が主流の地域があります。それは北海道や新潟県、東北、北陸地方などです。これはまた、なぜなのでしょうか。
その答えは「雪」です。横型の信号機は、灯器の上部にある「フード(ひさし)」の部分が水平になるため、雪が積もりやすいという致命的な欠点があります。積もった雪で灯器が見えなくなったり、雪の重みで破損したりする危険性があるのです。
一方、縦型は雪が積もる「天面」の面積が最小限ですみます。
北海道警察の公式資料では、縦型にするとフードの面積が3分の1になり、雪が積もりにくくなるため、豪雪地帯で採用されていると説明されています。本州でもおおむね分水嶺を境に、日本海側で縦型が採用される傾向にあります。
つまり日本の信号機は、台風が脅威となる地域では耐風性に優れる「横型」を、積雪が脅威となる地域では着雪しにくい「縦型」を採用するという、地域の気候特性に合わせて最適解を追求する「適地適応」の柔軟な対応がなされていると言えるでしょう。
ただし、この雪国仕様にも新たな悩みが出てきています。信号機が従来の電球式からLED式に移行したことです。LEDは消費電力が少なく長寿命という利点がありますが、電球と違って発熱量が非常に少ないため、灯器に付着した雪が溶けにくくなってしまいました。
この対策として、豪雪地帯ではヒーターを内蔵した信号機や、雪が付きにくい「カプセル型フード」で灯器全体を覆うタイプ、さらには「コイト電工」などが製造する、灯器自体の厚さを6cmほどにした「薄型フラット型信号機」などが導入されています。
薄型信号機は風の影響も受けにくいため、今後は台風対策と雪対策を両立する切り札として、全国的に普及が進むかもしれません。





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