JALが「北米への新路線」検討中! トランプ・ショックなのに拡大に踏み切るワケ 行先はどこだ!?

JALが北米への新路線を検討していることが明らかになりました。候補地として複数の都市が浮上するなか、最も可能性が高いのはどこなのでしょうか。

「日本直行便もどってきて!」熱望の都市も

 一方、JAL関係者の1人が「日本路線が撤退したのは惜しく、個人的には就航してほしい」とささやいたのが西部オレゴン州ポートランドです。アメリカの航空大手、デルタ航空が成田との直行便を2020年3月に廃止し、羽田へのシフトも実現せずに終止符を打ちました。

 ポートランド都市圏にはスポーツ用品大手のナイキとコロンビア・スポーツウエアの本社があり、半導体大手インテルの主力拠点もあります。ポートランドはレベルの高いレストランやカフェも多く、発達した次世代型路面電車(LRT)などの公共交通機関で移動しやすいという強みもあるなど観光地として大きな潜在力を持ちます。

「日本国外で最も本格的な日本庭園」とたたえられている「ポートランド日本庭園」は名所となっており、ロサンゼルスやサンフランシスコなどと同じように日系アメリカ人が長く住んできた日本との結びつきも強い地域です。このため訪日客の開拓も期待でき、ポートランド在住の日系アメリカ人から「デルタの廃止後は日本との直行便がなくなってしまい、残念だ」との声を聞きました。

 ただ、難点はアメリカンのハブ空港ではないこと。もっとも、JALはアメリカンのハブ空港ではない東部マサチューセッツ州ボストン、カリフォルニア州サンディエゴと成田をそれぞれ結ぶ直行便も運航しており、幹部は「アメリカンのハブ空港は日本との直行便を飛ばすための絶対条件ではない」と解説します。もしも開設する場合、ボストン、サンディエゴ両線で使われているのと同じボーイングの中型機787の採用が有力視されます。

 筆者はこれまでに挙がった都市全てを訪問しており、新規就航先としてはポートランドの期待度が最も高く、次いでフェニックスの可能性もあると想定しています。ただ、ともに決定打を欠いているのも事実です。新たな就航先に路線を開設するのではなく、既に羽田線を抱えているアメリカの大都市に成田からも飛ばすといったシナリオも否定できません。

 果たしてどの都市に白羽の矢が立つのかは見通せませんが、空の旅の選択肢が広がるのは夢がある話です。2026年4月に15年の節目を迎えるJALとアメリカンのPJBの“航路”から目が離せません。

【地図】これがJALの「新路線候補地」です(画像で見る)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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