「エア暗渠」意外な構造 見えない川と交差する東京の環状道路
東京の大動脈のひとつ「山手通り」は多くの川を越えていきますが、なかには上部が覆われた「暗渠」もあり、川との交差が分かりにくくなっています。特に江戸時代の上水路との交差は、驚くべき構造になっているのです。
「線路だった玉川上水」と交わる山手通り 線路はどこへ?
玉川上水は、多摩川の羽村から武蔵野台地上を東に流れる水路で、江戸時代は現在の新宿区四谷付近の「水番所」から江戸市中に分配されていました。しかし1970年代の中央自動車道高井戸IC〜調布IC間の工事にともない、杉並区久我山から都心側が暗渠となり、現在は水道施設としては利用されていません。
山手通りと交わるのは、「甲州街道」との「初台」交差点のすぐ南で、東西には遊歩道「玉川上水旧水路緑道」があります。この緑道が、そもそもの玉川上水を暗渠化して作られた道で、玉川上水は山手通りの下を走っています。
なおこの緑道の地下には「京王線/京王新線」が走っていますが、かつて京王線が地上を走っていた時代、この区間は玉川上水の暗渠上に軌道が敷かれていました。つまり玉川上水の用地は時代ごとにその役割を変え、現在に至っているのです。
「エア暗渠」、いいえ「暗渠サンドイッチ」
そしてもうひとつ、千川上水と山手通りが交差する部分では、「暗渠である千川上水の下を山手通りが走る」という奇妙な構造が特徴となっています。
千川上水は玉川上水の中流から北に分岐する支流で、練馬区関町付近から23区内は、ほぼ暗渠となります。
この千川上水の暗渠は都道439号「千川通り」に沿って東進しますが、豊島区内で北東に流れを変え、板橋区大山から板橋区役所付近に抜け、豊島区西巣鴨に至ります。この板橋区大山から板橋区役所までの間で、暗渠の千川通りが山手通りと交差するのです。
山手通りはこの区間、外回り(北行き)は地上を走り、仲宿交差点で国道17号「中山道」と合流します。内回り(南行き)は中山道上りと分岐したあと、中山道下りとの平面交差を避け、仲宿交差点をアンダーパスして南に向かいます。このアンダーパスは上空を横切る構造物を3つくぐりますが、そのふたつ目が、千川上水の暗渠です。
つまり山手通りは外回り、内回りのそれぞれで千川上水の暗渠を上下からサンドイッチしていることになります。しかし、付近にはここに千川上水が流れていたことを示すものはなにもなく、クルマはもちろん、歩く人もその存在に気付くことはないでしょう。
こうして千川上水が山手通りを渡る部分は残されましたが、この部分の千川上水は、玉川上水の都心側と同様に、水道施設としての利用は終了しています。
千川上水はここから東側では緑道などの形態をとっていませんが、JR板橋駅に近い旧中山道平尾宿から西巣鴨までの間は、暗渠の部分が周囲の道路より不自然に高く、注意して見ればそれと分かる形となっています。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。





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