「中国が9割を握る重要素材」を国産化へ 目指すは“深海” 驚きの次世代探査システムも“ぜんぶ国産開発”その最前線とは?
中国が9割のシェアを握り、関係次第で安定供給への大きなリスクが生じるレアアース。その国産化に向け、AUV(自律型無人探査機)を用いた次世代の深海調査システムの開発が進行中。海だけでなく「空のマシン」も作って深海に挑みます。
「電池がきれる、戻ってこい!」を不要に
従来のAUVはバッテリー容量の限界から、稼働時間は長くても20時間程度です。1日動けば母船に引き上げて充電する必要があり、これが調査の連続性を妨げる大きな壁となっていました。
この「稼働時間の壁」を突破するために開発しているのが、海底に設置する充電ステーション、すなわち「深海ターミナル」。海技研と国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が開発している深海ターミナルは、いわば「置くだけ充電」のようなコンセプトです。
「お皿のような台座にAUVがポンと座り、上から蓋をするようなシンプルな構造」にすることで、AUV側に特別なドッキング機構を組み込む必要がなくなり、多様なAUVで利用可能になります。
このターミナルがあれば、AUVはバッテリーが切れそうになると自ら海底ステーションに戻り、充電を行って再び調査に向かうことができます。いちいち海上に浮上して母船に回収される必要がないため、天候に左右されず、長期にわたり深海での活動が可能になるのです。
国産レアアースの開発では、その分布や採掘による環境影響を調べるために、広大な海域を詳細に調査する必要があります。新システムでは、洋上の母船に頼らず複数台のAUVを同時に運用することを目指しており、海底に設置したAUV航法の基準局「水中音響灯台」や深海ターミナルと連携した広域モニタリングシステムの構築を目指します。





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