「長~い駅名」がやけに続くなぁ… じつは背景に「大災害」 いばらの道を乗り越えるローカル線の知恵

乗っていると、駅名標の長い表記が次々と現れる第三セクター鉄道があります。そこには存続のために知恵を振り絞ってきた鉄道会社の経営努力がありました。

河川近くに残る豪雨の痕跡

 総社では数人の乗客しかいませんでしたが、清音で約20人が乗ってきました。高校生の通学利用や、伯備線の倉敷方面からの乗り換え客があるためです。

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井原鉄道の橋梁から眺めた高梁川(大塚圭一郎撮影)

 清音から先は非電化の単線区間が続きます。隣の川辺宿(倉敷市)までの間の高梁川に架かる橋梁は716.3mと井原鉄道の橋梁で最長で、なかなかの風格があります。

 大阪府在住で出身地の岡山県井原市へ向かっていた男性は「この路線はローカル線でも高架が多いので、高い場所からの田園風景や山々の景色を見渡せるのがいいんですよね。本当に美しいと思います」と話しました。「出身地だからひいき目もあるかもしれないけれども」と男性は笑いましたが、マイカー利用に押されがちなローカル鉄道にとって、地元の出身者や在住者が胸を張れる存在であることは本当に大切です。

 総社から3駅先にある吉備真備(倉敷市)の駅名は、地元出身の奈良時代の学者・政治家で、遣唐使にも派遣された吉備真備にちなみます。駅名標の下には吉備真備と遣唐使の船をあしらったイラストが添えられていました。

 男性は沿線を流れる小田川を指さして「あそこにある復興防災公園(まびふれあい公園)には2024年に天皇・皇后両陛下がお見えになり、西日本豪雨の復興状況を視察しました」と解説してくれました。この周辺は西日本豪雨の被害が特に大きく、小田川の堤防などが決壊して広い地域が水没するなど大きな被害が出ました。

 2024年に開園した復興防災公園は遊具や芝生が敷かれた空間が広がり、普段は遊んだり、運動したりできる空間として活用されています。一方で大雨などの災害時には車で一時避難したり、住民を避難させるヘリコプターを発着させるヘリポートとして使ったりできます。

 なお、人名および駅名の吉備真備の読みは「きびのまきび」ですが、倉敷市にある所在地の真備町は「まびちょう」と読みます。

 筆者が乗った列車は総社を発車して39分後に主要駅の井原(井原市)に到着。「この先も良い景色がありますから是非楽しんでください」と言ってくれた男性を含め、15人ほどが下車しました。中央にガラス張りの三角錐を設けた駅舎は目を引き、構内には井原観光案内所や売店、飲食店、特産品のデニムを販売する「井原デニムストア」などが入っています。この駅舎の豪奢な造りは、「井原鉄道の開業は井原市民の悲願だった」という男性の言葉を裏付けていました。

 筆者が乗った列車は対向列車との行き違いのため8分停車し、井原から16分で終点の神辺に到着しました。井原鉄道の3往復は福塩線に乗り入れて福山(福山市)まで直通運転しており、これらの列車は神辺で福塩線のホームを使います。

【え…ww】ここまで詰め込むか!「長~い駅名」たち(写真)

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