首都圏の“電車じゃない区間”に「電車のような気動車」が突然デビュー! “白いキハ”はあっという間に消えるかも? JR八高線に乗った
2025年12月、JR東日本の八高線で新型車両のHB-E220系が運行を開始しました。これは事前の予告がないサプライズとしてファンを驚かせています。
実際に乗ってみると
今回は高麗川から倉賀野まで乗車してみましたが、車内は座席が減って立席の利用者で混み合っているように見受けられました。
駅の停車中や発車した直後はエンジンが停止し、発車直後はモーターの音がよく聞こえるので、乗った直後は電車と同じような感覚です。HB-E220系は、車体中央の運転席側の床下にエンジンがあり、連結面側の台車にモーターを備えています。エンジンは発車してから起動するため、ある速度から加速している間はエンジンが稼働しています。座席に座っていると、片側からモーターの音がしますが、反対側からはエンジンの音が聞こえます。
運転中、ある条件で運転台の黄色い「定速」ボタンを押すと、一定速度で走る機能があります。運転士がこれを使用して、一定速度で走行する様子も見受けられました。また、駅に停車する際のブレーキでは、モーターを発電機として活用し、蓄電池に充電しています。
充電がいっぱいになった場合は、エンジンの発電機をモーターとして使用し、エンジンブレーキでブレーキの負荷とする機能もあります。省エネルギーの見地ではもったいない機能ですが、実際にエンジンブレーキが動作している場面もありました。
車内の様子に戻ると、HB-E220系は車内に広告がなく、ドア横の広告スペースにも広告がありません。また、キハ110系に備えていた路線図もありませんが、八高線ではワンマン運転を行っているため、路線バスで見られる運賃表示器が停車駅の案内を兼ねています。HB-E220系の運賃表示器は、前の車両で駅名と運賃が、後ろの車両で駅名が表示される仕組みです。
HB-E220系は窓が少なく、車両の端の部分だと窓がありません。窓は固定窓もありますが、多くの窓は上半分が開閉します。車窓を楽しむには難点のある構造ですが、乗客を観察していると、大半がスマートフォンの画面に夢中で、うたた寝をしている人もいるとなると、車内が壁だらけで圧迫感を感じるかどうかは利用者次第なのかもしれません。
途中、群馬藤岡で一旦下車して乗り降りの様子を見ることにしました。八高線ではワンマン運転ながら、ホーム側のすべての扉で乗り降りできます。キハ110系では片側2扉だったためか、3扉のHB-E220系が到着しても乗り降りは両端の2か所の扉に集中し、中央の扉は比較的空いています。これも、キハ110系とHB-E220系が混在している今の時期ならではの現象なのかもしれません。
八高線のHB-E220系は2両編成8本(計16両)が導入される計画で、2025年12月の段階で7本がメーカーから出場しています。HB-E220系とキハ110系がともに使用される時期は、短期間で終わるのかもしれません。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。





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