「アムトラック」がなければ上陸作戦は失敗していた? 日米戦で重用された“地味装甲車” 映画『ペリリュー』にも登場
アニメ映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』で、アメリカ海兵隊の主要装備として登場する水陸両用車両「アムトラック」。一見すると地味ですが、実は同車が生まれたことは、現在の我が国の防衛戦略にも大きな影響を与えていました。
特殊能力で米海兵隊の救世主に
ただ、アムトラックは鈍足で、水上では速度11km/h、陸上では26km/hしか出ませんでした。また装甲も薄く、兵装は7.62mmブローニング機銃を2丁のみと、軍用車両としては貧弱そのものでした。それもそのはず、本来は洋上の船と上陸海岸を行き来する輸送がメインの水陸両用車として開発されたからです。
当初想定された運用法は、上陸した海兵隊はどんどん内陸に進んでいくので、その後を追って補給物資を届け、負傷兵を乗せて、そのまま沖合の輸送船などに後送するというものでした。
アムトラックのデビュー戦は対日戦、1942年8月のガダルガナル島攻防戦ですが、それから1年以上は、上陸海岸のトラックとして使われました。転機はタラワを巡る戦いです。この時期、アメリカ軍は海軍が中心となって中部太平洋方面で攻勢を開始します。この作戦の障害となるのが、日本軍が拠点化している島々です。いずれも巨大な珊瑚礁に囲まれた環礁で、これが敵前上陸作戦の重大な障害になると予想され、初めてLVTが上陸戦闘に使用されます。
これが大正解でした。従来使用していたLCVP(Landing Craft, Vehicle, Personnel:上陸用舟艇)は兵士36名を乗せることができたため、24名しか運べないLVTは、収容人数の点では劣ります。
しかし、アムトラックが難なく珊瑚礁を乗り越えて砂浜にたどり着いた傍らで、船であるLCVPは珊瑚礁を乗り越えられず、兵士を砂浜よりずっと沖合で下船させるしかありませんでした。結果、珊瑚礁の上で降ろされた兵士らは海水に浸かりつつ、遮蔽物のない場所で次々負傷し、大損害を出しながら砂浜を目指さなければならなかったのです。
こうした戦訓から、もしアムトラックがなかったら、上陸作戦は失敗していた可能性が高かったと評価されています。





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