小田急バスの「激レア長大路線」がフェードアウト? 新宿駅発着の2系統 あまりに“あっけない”幕切れ
小田急バスが、路線バス「新宿駅西口~よみうりランド」「新宿駅西口~若林営業所」系統の廃止届を提出し、関東運輸局が沿線自治体への意見聴取概要を公表しました。特に強い反対意見もなく、両系統は運行がないままフェードアウトとなります。
沿線自治体の反応は?
今回、新宿駅西口~よみうりランド系統と新宿駅西口~若林営業所系統が廃止されるにあたり、沿線自治体に対して意見聴取が行われました。
対象となったのは東京都をはじめ沿線の新宿区・渋谷区・杉並区・世田谷区・調布市・稲城市の7つの自治体で、いずれも書面で回答をしています。公表された各自治体の回答を要約すると、以下の内容でした。
・新宿区
廃止による区民生活への影響が微小なため、意見聴取の必要なし。
・渋谷区
廃止時期が早急すぎると思われる。廃止に方向はやむ得ない事情があると推察するが、地元への周知期間を十分に取ることや、廃止時期の再検討をお願いしたい。
・杉並区
区民の日常の足となる地域公共交通とは性質を異にするところであり、意見聴取は不要と判断した。
・世田谷区
路線廃止に当たっては、バス利用者や周辺住民等、関係者への十分な周知、説明を行っていただきたい。
・調布市
季節運行路線であることや、調布市内の乗降場所が僅かであることから、その廃止による公共交通網及び市民生活への深刻な影響等は予想されないため、意見聴取の必要なし。
・稲城市
廃止に伴う市内利用者への影響は軽微であると判断しております。市内の停留所(矢野口駅東)が廃止されますが、市内を運行するその他の系統では使用されないため、同様に市内利用者への影響は軽微であると判断しており、意見はありません。
・東京都
地域の状況を踏まえ、事業者と地元区・市が十分な調整を図るようお願いします。
これらの回答を見る限りでは、渋谷区が廃止時期の再検討に言及している程度で、廃止自体への反対意見は見当たりません。
筆者(柴田東吾:鉄道趣味ライター)も以前、新宿駅西口~若林営業所の系統に乗車しました。このときは、大半の乗客がバスファンでしたが、幡ヶ谷駅→笹塚駅間で地元の利用者がいました。この区間は渋谷区内にあたり、同区の意見は一理あるのかもしれません。
しかし、この区間は京王バスや都営バスの路線が重複し、地下には京王新線が走っているとなると、新宿駅西口~よみうりランド・若林営業所の系統がなくなっても困ることはありません。
ちなみに、杉並区が沿線に入っているものの、新宿駅西口~よみうりランド系統と新宿駅西口~若林営業所の系統とも、バスが通過するだけで停留所はありません。
小田急バスによると、新宿駅西口を発着するこの2系統は、いずれも廃止ということです。今後の運行はないため、2025年6月を最後に、ひっそりと姿を消したことになります。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。





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