テディベアの元ネタは「乗りものオタク!?」陸・海・空の乗りものに“史上初”を刻み続けた“超アクティブ大統領”の伝説

アメリカ第26代大統領のセオドア・ルーズベルトは、若く、活動的だったため、さまざまな新しい取り組みをし、多くの「大統領として史上初」を記録しています。その中でも、乗りものに限った史上初のケースをいくつか見てみます。

飛行機に乗った初の大統領経験者

 ルーズベルトが飛行機に乗ることになったのは1910年10月11日のことでした。選挙運動のためミズーリ州セントルイスを訪れていたルーズベルトは、市内でライト兄弟の飛行機が飛んでいることを知り、足を伸ばします。

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ライト・モデルBに乗り込んだセオドア・ルーズベルト(左)。右はパイロットのアーチボルド・ホクシー(画像:アメリカ議会図書館)

 そこでは、ライト兄弟の設立した飛行機製造会社「ライト社」が組織した飛行デモンストレーションチーム「ライト・エキシビション・チーム」に所属するアーチボルド・ホクシーが、当時のライト社最新モデル「ライト・モデルB」でデモンストレーション飛行をしていました。

 空を飛ぶ飛行機の姿を目の当たりにしたルーズベルトは、「試しに乗って飛んでみませんか」と声をかけられます。最初は断っていたルーズベルトでしたが、ホクシーの誘いに乗り、彼の操縦する飛行機に乗ることになりました。

 飛行機とはいっても、この「ライト・モデルB」は、主翼の上に座席が2つ並んでいるだけで、体を固定するシートベルトといった安全装具はついていません。前方にある棒に足をかけて踏ん張り、骨組みを握って体を支えるのみです。もちろんパラシュートもありません。

 それでもルーズベルトは飛行機に乗り込み、ホクシーの操縦で空を舞いました。アメリカ議会図書館に残されている、このときを撮影した映像を見ると、ルーズベルトを乗せた飛行機はただ飛ぶだけでなく、急降下と急上昇を繰り返す「スタント飛行」もしていることが確認できます。前年まで大統領だった人物を乗せているにもかかわらず、ホクシーは随分と大胆な人物であったようです。

 大統領経験者として、初めて飛行機での飛行を体験したルーズベルトは、着陸後「素晴らしい!(Bully!)」と激賞したと伝わっています。このとき52歳だった彼にとって、空を飛ぶということは、これまでにない感動だったようです。

 なお、1912年の大統領選ですが、ルーズベルトが立候補したことにより共和党の支持層が二分され、漁夫の利を得る形で民主党のウッドロウ・ウィルソンが第28代大統領に選出されました。

 陸・海・空と新しい乗りものをいち早く経験したセオドア・ルーズベルトは、非常に進歩的かつ好奇心旺盛だったことがうかがえます。ちょうど乗りものの変革期を迎えていた世の中に、ぴったりな人物であったといえるでしょう。

【写真】「乗りもの大好き大統領」なら本望? 彼の名前が付いた軍艦です

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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