「もったいない気がする」の声も 九州へ行く「りんかい線」旧型車両が“大都会”に乗り入れられないワケ
東京都心を走る電車が九州に“再就職”し、走る路線の風景は高層ビルが林立する大都会から自然豊かなエリアへ一変します。この路線は九州最大都市の大都会を駆ける地下鉄と相互直通運転をしていますが、ワケあって移籍する電車は乗り入れません。
「青い食パン」と出会う都会からの大先輩
10両編成でりんかい線を駆けてきた70-000形だけに、筑肥線へ移る先頭車の一部以外はお役御免になるのは「もったいない気がする」と東京臨海高速鉄道関係者は漏らします。ただ、福岡市地下鉄空港線に現行仕様では乗り入れられません。
というのも、福岡市地下鉄空港線に直通するために必要となる自動列車運転装置(ATO)とワンマン運転に対応していないからです。
ATOは運転士が運転席にあるボタンを押すと出発し、次の駅に自動的に停車する技術です。福岡市地下鉄では1981年の開業当初から実用化しています。これに着目したのが地元放送局のRKB毎日放送が1981年に制作し、TBS系列で放送されたテレビドラマ「お父さんの地下鉄」でした。
故川谷拓三さんが演じる主人公は、運転士を務めていた福岡市の路面電車が廃止後、運転士を続けたいとの願いをかなえて福岡市地下鉄の運転士に“栄転”します。しかしながら、地下鉄の運転士はボタンを押すだけの役割しかなかったという哀愁漂う役柄でした。
ところが、実は福岡市地下鉄空港線では2015年まで、ATO非搭載で手動運転が必要な電車が走っていました。それが当時乗り入れていた6両編成の103系1500番台でした。この車両で運行する場合には運転士に加え、車掌も乗務していたのです。
2015年にJR九州の305系が新たに導入されたことで、同303系を含めた直通車両はワンマン運転が可能なATO装備車両に統一されました。これらの車両は70-000形より後に登場したため“先祖返り”する必要はありません。さらに、70-000形はATOを備えていないため、あくまでも103系1500番台の置き換え用にとどまりました。
なお、福岡市交通局も空港線・箱崎線を走ってきた初代型車両1000系を、先頭部が青く彩られて切り立って「青い食パン」の愛称が付けられた新型車両4000系に順次置き換えています。
ともにニューフェースの4000系と70-000形の譲渡車両が筑前前原での停車中に顔を合わせるのは時間の問題です。それでも製造開始はそれぞれ2024年、1995年と30年弱の差があり、まるで“親子競演”のような車齢差となります。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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