坂道でもないのに? 宅配トラックがどこでもタイヤに「輪留め」をする本当の理由
日本の物流を支える宅配業者のトラック。街中で見かけるものの中には、一見すると平地にもかかわらずタイヤに車輪止めを設置している車両も。「坂道でもないのになぜ?」と思いきや、専門家によるとそこには納得の理由があるといいます。
平地でも「車輪止め」はドライバーの「手順」ミスを防ぐため?
街中でよく見かける宅配業者のトラックは、平地であるにも関わらず、丁寧に「車輪止め」をタイヤに施して、荷物をおろしているケースが少なくありません。しかし、坂道であればわかるものの、どうして平地でわざわざ「車輪止め」をするのでしょうか。
トラック「車輪止め」は、「輪止め」「歯止め」「タイヤストッパー」とも言われる器具のことです。法的な設置義務はないようですが、元トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学生物理工学部の島崎 敢准教授はこう解説します。
「まず、一般人には『平地』に映る道路でも、実際には微妙な傾斜があったり、錯覚で平坦に見えているだけで、意外と傾斜がかかった坂であることがあります。そのため『平らならやらない』『坂ならやる』という基準を設けても、その判断自体が難しく、ドライバーにとって余計な負担になるかもしれません。
また、もし『坂の場合だけ設置する』という手順にした場合、『坂の手順』『平地の手順』の2種類の手順ができるわけですが、そうなると、例えば『坂で車輪止めをしているのに、外し忘れて発進してしまう』などのエラーが起きやすくなります。
そういうエラーを起こすリスクがあるならば、手順を統一し、坂かどうかにかかわらずいつも必ず『車輪止め』と置くことにしておけば毎回の駐車ごとに『坂かどうかを判断する』余計な思考リソースを使わずに済むし、判断エラーも少なくなります。こういったドライバーの『手順』の混乱を防ぐ意味で、結果的に『どんな道路でも車輪止めをする』になっていると思います」(島崎准教授)
つまりは「車輪止め」を「やる・やらない」の判断の負担をドライバーに課さず、むしろ「一貫してやる」とすることで、手順の混乱を防ぐ意味があるようです。また、これに加えて「宅配業者やドライバー自身の意識変化を狙う思惑もあるだろう」と、島崎准教授は言います。
「宅配業者側に立ってみると『車輪止め』は対外的なアピール(企業ブランディング)にも繋がっているようにも思います。『車輪止め』は万一ブレーキなどが壊れた場合の最後のバックアップです。この安全へのバックアップをしっかり行うことは『うちの会社はリスクを減らすために、こういうことまでやっているんですよ』という対外的なアピールになります。
他社がやっていない中ではなおさらで、きちんと『車輪止め』をしていることは、外部から『ちゃんとした会社だ』という印象を与えるというわけです。同時に、ドライバー側にも『私たちの会社は徹底して安全対策をしている』という誇りを持ってもらうことができるでしょう」(島崎准教授)




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