自動車大手が「自爆ドローン」製造へ 一体どんなもの? かつての“戦車の名門”が防衛へ復帰 欧州メーカー“背に腹”の事情

フランスの自動車大手ルノーが軍用UAS(無人機)の生産に乗り出します。約四半世紀ぶりに防衛事業へ本格参入する背景と、欧州の自動車メーカーに広がる同様の動きを解説します。

欧州の自動車メーカーが「軍需」へ参入、今後も?

 ルノーは第二次世界大戦後に国有化された後も、子会社で大型トラックの生産も手がけていたルノー・トラックスを通じて、フランス軍向けのトラックや、四輪駆動軽装甲車「シェルパ」「VAB」の開発と生産を行っていました。

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フィンランドの自動車メーカーであるバルメット・オートモーティブが生産を行う「パトリア6×6」(竹内 修撮影)

 しかし2001年、同社はボルボグループへ売却され、ボルボグループの下で「Arquus」(アーキュス)と改名。さらに2024年にはベルギーの防衛大手であるジョン・コッカリルグループに売却されており、現在ではルノーと資本関係の無い企業として存続しています。

 そのルノー・トラックス売却から約四半世紀に渡って、防衛事業と一線を引いていたルノーが再び防衛事業に本腰を入れる理由は、二つあります。

 ルノーは2024年12月にカーシェアリング事業を終了し、2026年1月には電気自動車とそのソフトウェアを手がける子会社アンペア・ホールディングスの解散を発表しています。

 また、ルノーはロシアに工場を設けるだけでなく、ロシアの自動車メーカー「アフトワズ」にも出資するなど、同国で積極的に事業を展開していましたが、2022年にロシアがウクライナへ侵攻したことを受けてロシア政府に全事業を売却して撤退し、約23億ユーロという巨額の損失を被っています。

 前に述べたL’Usine nouvelleはルノーのUAS事業について、10年間で10億ユーロ規模のビジネスになる可能性があると報じており、期待していた本業の新事業や海外事業で成果を上げられなかったルノーにとって、生産インフラや労働者の転用が容易なUASの生産は、同社復活の起爆剤になり得ます。これが同社がUASの生産に参入する一つ目の理由です。

 もう一つの理由はロシアのウクライナ侵攻や、アメリカのトランプ政権による圧力などから、ヨーロッパ各国の防衛費が軒並み増加傾向にあることです。

 この点はフランス以外の自動車メーカーでも動きがあります。ドイツのフォルクスワーゲンが防衛事業への参入を検討しているほか、フィンランドの自動車メーカーで、主に欧州メーカーの乗用車のライセンス生産を行っているバルメット・オートモーティブが装輪装甲車「パトリア6×6」の生産を決定するなどしています。後者は陸上自衛隊も採用した装輪装甲車「AMV XP」のメーカーであるパトリアが開発したもので、欧州各国にて採用されています。

 二つ目の理由、すなわちヨーロッパ諸国の防衛費増額をあてにして防衛産業の参入するヨーロッパの自動車メーカーは、今後も増加していくものと思われます。

【え…!】これがルノーの作るドローンの“モデル”です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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