1000人以上が「座れた」!? 空前絶後の“オール2階建て”通勤電車はなぜ消えていったのか 今の時代はもう無理?

通勤距離が長くなるにつれて高まっていった「着席通勤」へのニーズ。この声に応えて1992(平成4)年に登場したのが、空前絶後の「オール2階建て通勤車両」であるJR東日本の215系電車でした。

問題は「乗り降り」にあった?

 215系は10両編成で運行され、座席定員は1編成合計で1010人を誇りました。また、実現しなかったものの、当初は5両の付属編成を追加し、15両編成・座席定員1512人で運行する計画もありました。

 ところが、215系の乗降扉は2扉のみと貧弱でした。このため、特に乗客が多い東海道本線では乗り降りに時間がかかり遅延を招くことに。当初計画の15両より短い10両編成となり、停車位置が変わったことも混乱を生みました。

 これにより、215系は2001(平成13)年に快速「アクティー」から外れ、2004(平成16)年には湘南新宿ラインからも撤退。定期運用は、平日の「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」と、週末の「ホリデー快速ビューやまなし」のみに減りました。

 そして2020年には「ホリデー快速ビューやまなし」が事実上の廃止に追い込まれ、残る通勤ライナーも2021年の特急化に伴い撤退し、215系の定期運用は終了しました。

 215系は定期運用終了後、全車が廃車されました。車両限界いっぱいの車体を活かし、ジョイフルトレインなどに転用されなかったのが惜しまれます。「着席通勤」の理想を斬新なコンセプトで追い求めた215系でしたが、交通バリアフリー法が施行され、ホームドアが普及した今、このような車両はもう現れないでしょう。

【現存せず…!】これが在来線の「オール2階建て通勤列車」です(写真で見る)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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