「京急らしくない」車両になぜ先祖帰り!? 「シン・銀の1000系」まもなく運転開始 “塗装そっくり”可能にした技術

京急電鉄が、銀色がむき出しになったステンレス製車体の1000形の導入を約10年ぶりに再開します。しかし、新たな「銀千」は以前の車両とは見た目が異なっており、そこには製造会社の得意技術が関係していました。

元の「銀千」とは「見るからに違う」

 ステンレス製車体の塗装をやめ、側面の窓回りはステンレス地がむき出しになった23次車は「銀千」への先祖返りと言えるかもしれません。ところが出場した1702編成の側面の外観は、元祖「銀千」とは違って見えます。

 元の「銀千」の側面は、ステンレス外板を重ね合わせてスポット溶接で結合するセギリ構造を用いています。「銀千」はセギリ構造によって出っ張った部分のステンレス地がむき出しになっており、スポット溶接の打痕も並んでいるため見た目がでこぼこしています。

 これに対し、側面の窓回りはステンレス地がむき出しになっているものの、上下の赤色を基調にしたラッピングに溶け込んでいるのがシン・「銀千」こと23次車。まるで窓回りを含めた全体にフイルムを貼り付けているような一体感があるのです。

 その秘訣は、J-TRECが得意とするレーザー溶接技術で車体側面のステンレス外板を接合し、構体を平らにするフルフラット外板にあります。ラッピングを採用することで塗装する場合よりも環境負荷を低減しながらも、塗装にほとんど見劣りしない外観に仕上がっています。

「極細窓」サヨナラ!

 23次車は、前方を眺めやすいように乗務員室の後ろに設けたクロスシート(通称「展望席」)が用意されます。

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1000形1890番台「Le Ciel」製造中の様子。乗務員扉の後方に細長い窓がある(画像:京急電鉄)

 1000形の一部編成は「展望席」を設けるとともに、脇に幅約10cmの細長い「極細窓」を取り付けているのが名物になっています。これに対し、23次車の「展望席」の脇には窓が設置されていません。

 車内には防犯カメラを設置しており、京急は「近年の鉄道車内における傷害事件などの発生を受け、地上側でリアルタイムに映像の確認ができるようにしている」と説明します。京急はこのタイプの防犯カメラを2026年度末までに全車両に導入する計画です。

 京急は23次車の導入に伴い、1985年にデビューした鋼鉄製車両1500形の引退・廃車を進めます。その中で、関係者は「8両編成の1725編成の廃車が迫っている」と明かします。

 2026年元日には、神奈川県・三浦半島で初日の出を観賞する利用者向けの品川発三浦海岸行き臨時特急「初日号」が1725編成で運転されました。先頭に「初日号」と記したヘッドマークを取り付けて運用に入ることは栄誉だとされます。

 このため「初日号」としての運用は、1725編成の花道を飾る“引退興行”の意味合いもあったそうです。

【写真】これが「シン・銀千」導入で“引退”する車両です!

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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