東海道新幹線、深夜の「過酷訓練」を実施 その内容とは?(写真20枚)

「過酷」その1、東海道新幹線で最大級に列車が傾く場所

“過酷”だったことのひとつは「カント」です。線路はカーブで、その外側が高くなっていることがあります。カーブで線路を傾け、その内外で高低差を設けることで、高速でも安定した状態で列車がカーブを通過できるようになるほか、乗り心地を向上させられるのです。競輪場を想像すると分かりやすいかもしれません。かんたんにいうと、このカーブにおける線路の傾きを「カント」といいます。

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カーブの途中でカントがあるため、傾いて停車している新幹線N700A(画像:JR東海)。

 訓練で列車が停止した場所は、この「カント」の量が東海道新幹線において最大級である区間のひとつ。『日本鉄道名所4 東海道線』(小学館)によると、東海道新幹線で例外区間を除き最も急である半径2500mというカーブの途中で、カーブ内側と外側のレールは、東海道新幹線で最も大きい200mmの高低差があるとみられる場所です。

 左右のレールで200mmの高低差があるとみられる場所から、つまり「傾いた列車」から避難するというのが、今回の訓練が“過酷”であった理由のひとつです。その傾きは約8度(車内からスマートフォンで記者が計測)。JR東海によると、列車が傾く「カント区間」で乗客を車外へ脱出させる方法を検証するため、実施したといいます。

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救援のため、カント区間に停車中の新幹線へ横づけされた保守用車。こちらも傾いている。
傾いた新幹線と、傾いた保守用車のあいだに、避難用の「橋」を掛ける。
傾いた橋を渡り、保守用車へ「脱出」する。

 車外への脱出では、乗降用ドアにはしごを掛け地上に降りる、隣の線路に保守作業用の車両を停車させ、渡り板を設置し、歩行が難しい(という設定の)人を移乗させるという訓練が行われました。もちろん、訓練に使われたN700系新幹線も、保守作業車もそれぞれ傾いた状態で、です。

 またJR東海によると、実際の営業線上でこのように保守用車を使い、乗客を救済する訓練を行ったのは今回が初とのこと。

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コメント

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4件のコメント

  1. 投光器当てて訓練になるんかな?

    • カメラのフラッシュではないですか?
      仮に投光器だとしても作業用通路や梯子等、足元が不安定な状況で照明を使用することは何らおかしくはないと思いますが。現実としてこのような避難が行われる際は応援要員と共に照明も持参するでしょう。

  2. 中国や韓国の鉄道ではそんな訓練はまずしない。

  3. 数日前に訓練の記事を読んだら、昨夜高槻市内で架線切断による停電発生。
    数時間に渡って缶詰にされたようなので、この訓練がどこまで活かされたかは解らないけど、来年は架線復旧もメニューに入るのかも?