東京23区の「無料巡回バス」、なぜタダ? 地域の「足」確保だけでないメリットとは

なぜ無料? 協賛企業には目に見えないメリットも

 先述した「東京ベイシャトル」など4つの無料巡回バスは、主に貸切バス事業を運営する日の丸自動車興業(東京都文京区)が運行しています。同社に話を聞きました。

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左上から時計回りに「東京ベイシャトル」「丸の内シャトル」「メトロリンク日本橋」「メトロリンク日本橋 Eライン」のバス(画像:日の丸自動車興業)。

――4つの無料巡回バスは誰でも乗っていいのでしょうか?

 もちろんです。お買い物や通勤などに、どなたでもご利用いただけます。

――なぜ無料で運行しているのでしょうか?

 それぞれの路線において、企業などの協賛を得て運行しているためです。2000(平成12)年の「東京ベイシャトル」運行開始以来、100パーセント民間の協賛で成り立っており、4路線とも自治体から援助はいただいていません。

――1路線につき、いくらくらいの協賛を得て運営されるのでしょうか?

 たとえば「メトロリンク日本橋」の場合、10時から20時までの10時間のあいだに、バス3台をドライバー5人が交代で運行しますが、これを1台当たりのコストに換算すると1か月あたり200~250万円ほどです。

――協賛する企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 お客様が無料で何回でも気軽に乗り降りできるようにすることで、街の回遊性を高め、店舗に人を呼び込むことができます。交通が便利になれば不動産の価値も上がり、店舗を持つ企業以外にも効果は波及します。そもそも運行の目的は、「(東京駅などの)駅周辺の賑わいを運行エリア全体に広げること」にあるのです。

――新規路線はどのように決まるのでしょうか?

 いろいろなケースがあります。たとえば2016年10月から運行を開始した「メトロリンク日本橋 Eライン」の場合は、旧日本橋区(編注:東京都中央区のうち、住所が「日本橋〇〇」となっている地域と八重洲1丁目)東部の浜町や人形町などに、東京駅や日本橋周辺の賑わいを広げていく目的で、地元の協賛を得て運行が実現しました。また、「丸の内シャトル」の短縮版である「大手町ルート」は、日本経済団体連合会(経団連)や日本経済新聞など、大手町地区の協賛団体や企業の要請を受け、通勤の足として運行しているものです。

※ ※ ※

 日の丸自動車興業によると、たとえば2004(平成16)年に運行を開始した「メトロリンク日本橋」は現在、年間80万人が利用するなど、その認知度も高いといいます。協賛のメリットとして、車内外を広告に使えるといった目に見える形のものもありますが、基本的には「地元をみんなで盛り上げていこうという街おこしの一環」だと話します。

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コメント

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2件のコメント

  1. 市営バスが高いから?それならとイケヤでコーヒー飲んで無料バスで新横に出てるよ、確かに地域に人を呼び込むには無料はいいかもしれない、

  2. そりゃあ、スポンサーになる企業が多い東京都内だから出来るんでしょう。例えば同じ東京でも多摩市とかでやったら・・・