伊豆の尾根から温泉へドライブ ラスク作りや光る露天風呂も

わさび田を通って伊豆最古の温泉へ

 冷川ICから修善寺方向へは、通常なら県道12号の方が走りやすい。しかし、諏訪神社のある「八幡東」の信号を左折して県道59号へ南下した。その理由は筏場(いかだば)のわさび田を見たかったからだ。

 細い林間の一本道を行くと、清水流れる細い谷に「静岡県の棚田10選」に選出されたわさび田が現れた。戦国時代の落人が開拓し、やがて畳石式のわさび田を造成したという。ホタルやモリアオガエル、ヤマセミなどが棲息する自然豊かな森の中のせせらぎで、見事なわさびが育っている。駐車できるスペースが狭いので、注意したい。

 県道59号を降りた湯ヶ島には、旧町役場の建物を再利用した東京ラスク伊豆ファクトリーがある。店内には行列ができていた。バケット形をしたラスク用パンの「ラスクパン」を販売している。表面はパリパリ、中はふわふわ。そのおいしさといったら……。12時、14時、15時30分の3回、焼きたてが数量限定で販売される。また、ここではラスク作りの見学やラスク作り体験ができる。ラスク作りに興じるのも愉快なひとときだ。

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1500枚の棚田がある筏場のわさび田(篠遠 泉撮影)。
肉厚なしいたけを採って、その場で焼いて食べられる修善寺しいたけの里(篠遠 泉撮影)。
修善寺温泉は源氏にまつわる史跡も多い(篠遠 泉撮影)。

 ドライブの最終目的地は修善寺温泉。国道414号を進めば近いが、県道349号へ寄り道。グルメ探求のついでに原木しいたけを味わおうという趣向である。修善寺しいたけの里は3軒の生産者が、菌を埋めてから2年の歳月をかけ森で寝かせたクヌギの原木を使って、しいたけを栽培。貴重なしいたけを自分で採って、炭火で焼いて食べられるのだ(300g1080円)。肉厚なしいたけは、口に含むとボフッといった食感があり、うまみが広がる。太い石突きまで味わった。

 修善寺温泉は修善寺川(桂川)の左右に旅館や店舗が並ぶ。弘法大師が開いたとも伝わる修禅寺と共に歴史を重ねてきた。鎌倉時代にはこの寺に源頼家を幽閉、やがて暗殺するといった史実も残る。

 共同浴場も多いのだが、宙SORA渡月荘金龍のお湯を選んだ。ここは昨年の大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のロケ地。新垣結衣と星野源が訪れた温泉だ。アルカリ性単純温泉で汗を流してから修善寺IC利用で三島へ。修善寺道、伊豆中央道、伊豆縦貫道と連なる道は、一部国道を経由するが、新東名高速長泉沼津ICと東名高速沼津ICに直結しており便利である。

※ ※ ※

・箱根ターンパイク
 5時30分~22時/720円(箱根小田原本線)/電話0465・23・0381
・伊豆スカイライン
 780円(熱海峠IC~冷川IC)/電話0558・79・0211
・姫の沢公園
 電話0557・83・5301
・東京ラスク伊豆ファクトリー
 10時~18時(土・日曜、祝日は9時~)/コロコロラスク体験500円(土・日曜のみ)/電話0558・85・0232
・修善寺しいたけの里
 9時30分~15時/水曜休/電話0558・72・8484
・宙SORA渡月荘金龍
 日帰り入浴11時30分~16時/1500円(別途昼食付き入浴プランあり)/電話0558・72・0601

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『旅行読売』2017年9月号。特集は「わざわざ出かけたい 道の駅」と「星降る 高原、海の宿」。

・旅行読売(Fujisan.co.jp)
http://www.fujisan.co.jp/product/2782/ap-norimono

【了】

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