自転車は公共財へ? 広まる自治体のシェア自転車、利用が激増した都内6区の取り組み

全国の自治体で導入されている「シェア自転車」。東京では電動アシスト付き自転車が配置され、自治体をまたいで貸出や乗り捨てが可能となっているなど、利便性が向上しています。ほかの交通機関と競合することはないのでしょうか?

「相互乗り入れ」開始以降、利用回数は6倍以上に

 近年、東京をはじめ全国の自治体で「シェア自転車」が導入されています。街なかに「サイクルポート」あるいは「ステーション」などと呼ばれる貸出用自転車の駐輪設備を整備し、そこにある自転車を時間貸しするサービスです。

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東京都千代田区のシェア自転車「ちよくる」のサイクルポート。近隣の他区でも同様のサービスが導入されている(2017年9月、中島洋平撮影)。

 東京の導入自治体のうち港、千代田、中央、江東、新宿、文京の6区では、2017年9月現在、自治体をまたいで計200以上あるサイクルポートのどこでも貸し出し・返却が24時間(一部ポート除く)可能になっています。6区とも、利用にはクレジットカード情報の入力を含めた会員登録が必要で、1回の利用料金は30分150円から(税抜、以下同)。「1日パス(1500円)」のほか、通勤、通学用に月額会員制や、法人プランまで設定されています。

 中央区内に勤務しシェア自転車を利用している30代女性によると、「電動アシスト付き自転車なので、地下鉄ふた駅ぶんくらいの移動ならばこちらのほうが早いですね。最近は利用が増えているのか、(返却された)自転車であふれているサイクルポートや、逆にすべて貸し出されているところも見かけますが、ウェブサイトで自転車の駐輪状況を確認して予約もできるので便利です」と話します。

 自治体をまたいだシェア自転車事業は「広域相互乗り入れ」などと呼称され、まず2016年2月から港、千代田、中央、江東の4区で始まり、後に新宿区と文京区が参入。こうしたなか、港区の会員による1か月あたりの累計利用回数は、相互乗り入れ開始前の2016年1月に約1万6000回だったものが、10月には約4万9000回に、2017年7月には9万7000回を超えたそうです。6区のシェア自転車事業を取りまとめる港区の地域交通課に話を聞きました。

——そもそもシェア自転車はいつ、どのような経緯から導入したのでしょうか?

 港区では2014年10月に、複数の課題を解決する手段として導入しました。放置自転車問題の解消や、クルマから自転車への転換を促し二酸化炭素の排出を減らすことのほか、地下鉄やバスといった交通機関の補完も目的として挙げられます。たとえば、距離が近いにも関わらず地下鉄ではやや迂回しなければならないような駅間を、自転車を利用することで直線的に移動できます。導入の背景は6区それぞれで異なるとは思いますが、いま挙げた大枠の部分は共通するでしょう。

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コメント

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4件のコメント

  1. 確かにこれなら不法駐輪もある程度どうにかなりそうですが、乗り逃げや盗難の危険はありますね。

  2. 行政は自転車マナー悪化をよく促進できるね。
    今や自転車は車以上の公共交通機関の敵に変わりつつあるのに補完とか言うなんてあり得ない。
    シェアサイクルなんてやっても鉄道利用者が自転車にシフトするだけでお話しにならない。

    観光地の自動車規制も大事だが、違法駐輪の多い地区にはバスや電車を促進させる為に自転車規制も必要ではないかと思う。
    実際、自転車促進でマナーの悪い自転車の増加や公共交通機関離れを悪化させるだけだといい加減、気付け。

    勿論、観光地には自動車も自転車も規制しながら鉄道の敷居を下げた方が景観を良くするのは言うまでもない。
    自転車規制は歩行者が歩きやすくする政策にもなれます。

  3. 港区の事業開始は2014年の8月ですね。

    • ご指摘ありがとうございます。
      公式に発表されている2014年10月に訂正いたしました。