宇宙ロケットなぜ空中発射? 専用の巨大飛行機を用意してまで実現する理由とは

空中発射ロケットのメリットとは?

 空中発射ロケットは母機が空中でロケットを発射するため、母機が離着陸する滑走路さえあれば発射が可能です。地上から発射する通常のロケットに比べ、発射場などの地上設備が不要で、コスト面で優位性があると言われています。

 また、地上からロケットを打ち上げる場合は気象条件が重要となりますが、天候が安定している成層圏からの発射は母機が離陸さえできれば可能となるため、地上の天候に左右されなくなります。そして、高高度では大気の密度や気圧が低くなるため、同出力のエンジンでも地上発射と比べてより重い機体を発射することが可能となります。

 ロケットの空中発射は、第二次世界大戦中にドイツで開発されたHs293のような航空機から発射するロケット噴射のミサイルにルーツがあると言えます。米ソ冷戦時代には、地上の弾道ミサイル発射基地が攻撃された場合の反撃措置の一環として、空中発射弾道ミサイルの研究開発が進みます。しかし、その後ミサイル発射基地の防御能力が向上したことや、航空機では地上基地や艦船に比べて必然的に搭載量が少なくなるため、研究開発は中止となりました。

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開発計画が中止となった空中発射弾道ミサイル「スカイボルト」(画像:アメリカ空軍)。

 空中発射弾道ミサイルの研究は中止となりましたが、その技術を活かして空中発射ロケットの研究が進みます。

 アメリカ海軍の開発したロケット「パイロット2」はすべて打ち上げに失敗しましたが、アメリカのOSC(オービタル・サイエンシズ)社が開発した空中発射ロケット「ペガサス」は打ち上げ総数42回のうち37回で成功し、人工衛星打ち上げ用ロケットとして実用化されました。

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コメント

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4件のコメント

  1. 空中発射の主なメリット・
    地上からの発射と比べて初速、高度共にある程度稼いでいるのと、空気抵抗の薄い高度から発射されるため、同一のロケットなら到達高度もしくはペイロード重量が増加する。
    気象に左右されない高度で発射されるため、気象による発射延期が少なくなる。また、搭載ペイロードに対する最適発射点を自由に選択可能。
    空中発射のデメリット
    航空機に搭載する以上、重量、大きさにかなりの制限を受ける。また、ロケット自体の信頼性も高めなければならない。
    飛行中にトラブルがあった場合、地上発射時より大惨事となる可能性も高い。特に離陸中、ないしは打ち上げ中止で着陸するさいに事故が発生した場合は確実に被害が大きくなる。
    また、発射母機にも特殊な改造が必要なため、整備維持費が割高となる。
    なお、空中発射弾道ミサイルの場合、命中率の低下も考えられる。
    以上のメリット、デメリットからすれば、空中発射ロケットはあまり主流にならないのではと思う。

  2. エンジン6発の巨人機というだけで、超燃える!!
    キットかデスクトップモデル出ないかな?

  3. しいてもう一つメリットを挙げるとすれば、赤道付近からも発射できることでしょうか?

    • いや、それは船舶発射も同様。実際衛星打ち上げ専用船もあるし、赤道近くではないが弾道ミサイル原潜から衛星発射した前例もあるし。どっちにしても航空機発射よりは大型大重量のロケット発射可能だし。