宇宙ロケットなぜ空中発射? 専用の巨大飛行機を用意してまで実現する理由とは

立ちはだかるコストの問題、巨大化で解決?

 打ち上げコストが安くなると期待された空中発射ロケット「ペガサス」ですが、発射回数に関わらず母機の維持費は固定のため打ち上げ回数が増えないと、1回あたりの発射コストが高くなるというデメリットがありました。そして「ペガサス」は当初OCSが予想した受注数に至らなかっため、結果高コストとなり、さらに同社の弾道ミサイルを流用したより積載量の多い「ミノタウロスI」よりも高価になったため、その受注は減少したと言われています。

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「ペガサス」を搭載した母機「スターゲイザー」。ベースはロッキード(現ロッキード・マーチン)L-1011「トライスター」(画像:NASA)。

「ストラトローンチ」が発射するロケットは、当初アメリカの宇宙ベンチャー企業スペースX社のロケットを使用する予定でしたが、同社のロケットでは長期的なビジネスモデルに合致しないとの理由で、契約が破談となりました。そして、今後は「ペガサス」を保有するOCSがロケットの開発を進めると発表しました。

「ペガサス」の低軌道への投入能力は、最新型の「ペガサスXL」で440kg。新たに開発する「ストラトローンチ」用ロケットは4500kgと、「ペガサス」の10倍以上の投入能力になっています。

 同ロケットは、2019年には初打ち上げを行う予定ですが、「ペガサス」では実現できなかった空中発射による低コスト化を、ロケットを巨大化する事でどこまで実現可能なのか、注目されるところです。

【了】

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コメント

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4件のコメント

  1. 空中発射の主なメリット・
    地上からの発射と比べて初速、高度共にある程度稼いでいるのと、空気抵抗の薄い高度から発射されるため、同一のロケットなら到達高度もしくはペイロード重量が増加する。
    気象に左右されない高度で発射されるため、気象による発射延期が少なくなる。また、搭載ペイロードに対する最適発射点を自由に選択可能。
    空中発射のデメリット
    航空機に搭載する以上、重量、大きさにかなりの制限を受ける。また、ロケット自体の信頼性も高めなければならない。
    飛行中にトラブルがあった場合、地上発射時より大惨事となる可能性も高い。特に離陸中、ないしは打ち上げ中止で着陸するさいに事故が発生した場合は確実に被害が大きくなる。
    また、発射母機にも特殊な改造が必要なため、整備維持費が割高となる。
    なお、空中発射弾道ミサイルの場合、命中率の低下も考えられる。
    以上のメリット、デメリットからすれば、空中発射ロケットはあまり主流にならないのではと思う。

  2. エンジン6発の巨人機というだけで、超燃える!!
    キットかデスクトップモデル出ないかな?

  3. しいてもう一つメリットを挙げるとすれば、赤道付近からも発射できることでしょうか?

    • いや、それは船舶発射も同様。実際衛星打ち上げ専用船もあるし、赤道近くではないが弾道ミサイル原潜から衛星発射した前例もあるし。どっちにしても航空機発射よりは大型大重量のロケット発射可能だし。