大正と昭和初期の電気機関車が国重文指定へ 鉄博のED40形と青梅のED16形
鉄道博物館のED40形電気機関車10号機と、青梅鉄道公園のED16形電気機関車1号機が、国の重要文化財に指定される運びとなりました。
横軽区間などで使われたED40形10号機
JR東日本と東日本鉄道文化財団は2018年3月9日(金)、鉄道博物館(さいたま市)のED40形電気機関車10号機と、青梅鉄道公園(東京都青梅市)のED16形電気機関車1号機が、国の重要文化財に指定される運びになったと発表しました。
ED40形(当初10020形)は、ドイツ製のEC40形(当初10000形)電気機関車を改良する形で、鉄道省大宮工場(現・JR東日本大宮総合車両センター)が製造した国産の電気機関車です。
1919(大正8)年から1923(大正12)年にかけて14両が登場。線路の歯形レールと機関車の歯車をかみ合わせて急勾配を上り下りする必要のあった旧・信越本線のアプト式区間(横川~軽井沢間)で使われました。
このうち10号機は1944(昭和19)年、軍の要請によって6号機とともに東武鉄道に貸し出され、急勾配区間のある日光軌道線で銅鉱石や銅製品の輸送に使われました。1968(昭和43)年、同線の廃止によって廃車となり国鉄へ。大宮工場でアプト式時代の姿に復元され、同年には準鉄道記念物に指定。2007(平成19)年からは鉄道博物館で保存・展示が行われています。
八王子や鳳などで使われたED16形1号機
ED16形は、鉄道省と民間の共同設計による小型の勾配線、貨物列車用電気機関車として、1931(昭和6)年に登場。中央本線の飯田橋~甲府間を中心に使用され、戦後は南紀方面への急行列車や貨物列車にも使われた時期もありました。また、安定した性能や取り扱いに優れていたことから、勾配区間への対応を中心にさまざまな実験にも用いられ、のちの機関車開発に向けたデータを提供しました。
1号機は1931(昭和6)年、三菱造船神戸造船所で製造(電気品は三菱電機製)。その後は東京の八王子機関区や大阪の鳳機関区などで使用されました。1980(昭和55)年の廃車後は青梅鉄道公園で展示。同年には準鉄道記念物に指定されています。
両車両とも、2018年3月9日(金)の文化庁の文化審議会答申を受け、国の重要文化財(美術工芸品)に指定される運びになりました。正式な重要文化財への指定は、官報の掲載後になります。
【了】
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