車両だけじゃない! JR東海の小牧研究施設「土木の顔」 新幹線の補修方法を開発

開設から16年になるJR東海の「小牧研究施設」。これまで新幹線の新型車両向けの技術を多数開発してきましたが、土木構造物の研究も行っています。その成果は東海道新幹線が抱える「課題」の解決に使われました。

東海道新幹線の「固有課題」受け誕生

 それにしても、なぜJR東海は小牧研究施設を作ったのでしょうか。鉄道技術の研究ということなら、JR東海も負担金を支出している公益財団法人の鉄道総合技術研究所(鉄道総研、東京都国分寺市)があります。鉄道関係の研究は鉄道総研に任せてもいいはずです。

 JR東海は小牧研究施設を開設した理由のひとつとして、「当社固有の課題」を挙げています。具体的には、施設の老朽化が進む東海道新幹線のことです。

 東海道新幹線は、世界初の本格的な高速鉄道として1964(昭和39)年に開業。小牧研究施設が建設された2002(平成14)年の時点でも40年近くが過ぎていました。ほかの新幹線に比べて施設が古く、大規模な改修が必要な時期に差し掛かっていたのです。

 また、東海道新幹線はほかの新幹線に比べて鉄橋が多く、メンテナンスや補修工事も東海道新幹線の施設の状態にあわせた方法を開発しなければなりませんでした。そこでJR東海は、同社の「固有の課題」といえる東海道新幹線の土木構造物の維持、強化に関する研究を行うため、独自の研究施設を開設したのです。

 小牧研究施設は、橋桁の接合部に補強部材を追加することで、ゆがみの発生を未然に防止するなどの新しい補修方法を開発。すでにある構造物を生かしたまま大規模改修を行うことも可能になりました。改修工事自体も小牧研究施設での研究成果を採用することで、当初の計画より5年前倒しの2013年度から始まっています。

 ちなみに、東海道新幹線の大規模改修では当初、橋の架け替えも想定されていました。橋を架け替えるとなると、1か所につき少なくとも1日は列車を運休する必要があると思われます。しかし、1日平均で約45万人が利用している東海道新幹線を止めれば、日本経済にも大きな影響を与えることは必至。JR東海は独自の研究施設を設けることで、そうした事態を防いだといえるかもしれません。

※一部内容を修正しました(5月19日14時55分)。

【了】

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Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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  1. 新幹線用大型重機がそれなりにそそられる

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