船は津波にどう対処するか 停泊中のフェリーは沖へ避難、海上のジェット船は…(写真14枚)

クジラとどこで衝突するかわからない!? ジェット船は緊急停止

 一方、伊豆大島から航行中のジェット船は、東京港外でフェリーと合流し、乗客を避難させることに(今回の訓練では晴海ふ頭沖で実施)。あわせて、クジラとの衝突回避を想定し、高速運航中のジェット船を緊急停止させる訓練が行われました。

「東日本大震災では 大津波にあわせてクジラが次々と浮上したと報告されています。どこで衝突するかわからないこともあり、今回訓練しました」(東海汽船 柳場さん)

 やがてジェット船は、海上でいかりを降ろして停泊しているフェリーにゆっくりと近づき、船体を横付けしていきます。両船のあいだに橋を渡し、ジェット船の乗客をフェリーに避難させました。

 なぜジェット船の乗客をフェリーに移すのでしょうか。津波警報の発令中は、フェリーもジェット船も港に着岸できなくなります。海上での避難が長時間にわたる可能性もあることから、船内が広く、食料の備蓄もあるフェリーのほうが適しているのだそうです。

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東海汽船の貨客フェリー「橘丸」(2018年5月9日、中島洋平撮影)。
緊急離岸に際し係留ロープを切断。
横付けされたジェット船からフェリーへ乗客を誘導。

 こうして訓練は終了。今回は東京港の関係者や海上保安庁なども連携して行われましたが、東京港においては、このような大規模訓練は初めてのことだったそうです。訓練開始に先立ち挨拶した関東運輸局 東京運輸支局 次長の山下裕二さんは「東日本大震災以降、津波への対応強化とともに、『想定外』の事象への対応も求められています。今回の訓練結果をよく検証していきます」と話します。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 東日本震災の時に仙台港を緊急出港した太平洋フェリーきたかみ、時同じくして確か?東京港で新造船お披露目で停泊していた当時の新いしかり
    特に、きたかみに関しては苫小牧ターミナルの資料館に津波を乗り越える写真あり、一見の価値ありですよ
    観測船の宗谷などは戦時中に数々の魚雷を避けながら生き残った運の強さの縁起をかついで当初の船を観測船に改造した?と聞きましたが?
    きたかみも今回のドックを最後に来年は新しい船に入れ替わるそうです。
    平成元年に就航したバブルの象徴のような船内や外見も今年限りですかね

  2. 当時のニュース映像で沖に向けて避難してゆく巡視船は見たことがある。
    それにしても、クジラのエピソードは初めて読んだ。