アーケード商店街を抜け、崖っぷちの終点へ! 四国随一の「秘境バス」に乗ってみた!
山奥へ分け入る「秘境バス路線」は全国に存在しますが、街なかのアーケードを爆走するといった都会的な風景も味わえるという珍しい路線があります。徳島県の四国交通「漆川(しつかわ)線」です。どのような路線なのか、実際に乗車してみました。
アーケード街を走行する珍しいバス
日本には、街なかを走る路線もあれば、特に四国には山地を分け入っていくような「秘境路線」もあります。そのような街なかと「秘境」の両方を味わえる路線が、四国交通(徳島県三好市)の「漆川(しつかわ)線」です。
漆川線は、JR土讃線の阿波池田駅近くにある阿波池田バスターミナルと、同じ三好市内(旧・池田町)にある漆川八幡神社を結びます。起点から終点までの所要時間は38分で、1日6往復の運行、片道の料金は640円です。
バスターミナルを出発すると、バスはいきなり駅前のアーケード商店街に入っていきます。アーケード街というと歩行者天国のイメージもあるかもしれませんが、ここはれっきとした車道。阿波池田バスターミナルから出るバスはほとんどがこの道を通るので、ここ阿波池田では普通の光景です。多い時では数分に1本ペースでバスがアーケード下を走り抜けていきます。
その後は吉野川に沿って南下し、阿波池田からひと駅南の三縄駅などを経由して住宅地を進んでゆくのですが、この辺りの道も非常に狭く、対向車とのすれ違いも困難なほど。川と山に挟まれた土地のため、道路の用地が少ないのでしょう。しかし運転手も慣れたもので、涼しい顔をしています。
「漆川口」バス停を過ぎるとバスは大きく方向を変え、山道を上ってゆきます。ここから人家もまばらになっていき、ただでさえ狭かった道はバスの車体ギリギリの幅になります。急峻な谷あいを走行するため、車両右側は切り立つ崖、左側ははるか下方に見える川、という恐ろしい地形に。
途中の各バス停も「なぜこんなところに?」という場所に設置されており、乗車時には乗降客はひとりもいませんでした。終点近くの「南谷」バス停では、ポールになだれかかるように木製の看板が倒れていたり、次の「天王」バス停でははるか昔に設置されたと思われる待合小屋が朽ち果てていたりと、「秘境感」が満載です。
よくもまあ、こんな路線をみつけるか、と。ストリートビューで「走って」みちゃいましたよ。続編期待。