陸自車両の大行列、どうとりまとめる? 多数の車両を効率よく移動させる仕組みとコツ

キレイな車間距離を保つのにもコツがある

 多くのクルマを率いる梯隊では、道を迷うことは致命傷になる場合があります。そのため、先頭を走るクルマの操縦手は、事前に経路を勉強しておく必要があります。しっかりと経路を確認して、万が一の迂回経路を予習しておくのも、大切な要素のひとつです。

 そして、全車に共通しているのが、助手席に座る車長との連携です。操縦手は安全運転に専念する必要があるため、細かい時間管理や経路の確認などは隣に座る車長の仕事になります。また、クルマの左側は操縦手からすると死角になるため、車長が目視で確認するなど、安全運転に万全を期します。

 梯隊の中間に位置するクルマは誰が運転しているのでしょう。それは、比較的運転経験の無い操縦手が配置されることになります。そうすることによって、先行するクルマの後を付いて行けば目的地に到着できるようにするのです。ただし、信号などでどうしても先行車と離れてしまう場合があります。その時のために、助手席には経験豊富な車長を乗せて、操縦手が慌てることなく運転できるようにフォローするのです。

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豪雨の沼津市内を走行する陸自の車列(矢作真弓撮影)。

 また、多くのクルマを一度に移動させる陸自特有の梯隊の組み方があります。それが「SM=〇」です。

 ここでいうSとはスピードのことを言います。そしてMとはメートルを指します。〇の部分には1~3の数字が入ります。簡単に解説すると、「SM=1」の場合、40km/hで走行するなら、車間距離は40m、「SM=2」の場合、50km/hで走行するなら、車間距離は100m取りなさい。ということになります。

 この数字を事前に示すことによって、車間距離が近すぎたり、遠すぎたりすることなく、均等な車間距離で移動し続けることができます。

 このように様々な要素が詰まっている陸上自衛隊の車両行進ですが、夏の行楽シーズンに向けて、しっかりと目的地、経路、休止点、そして、先行車との適度な車間距離を保ち、安全快適に移動するなど、一般のドライバーもならうところはあるかもしれません。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 宛ら戦後の参勤交代だね

  2. 一度イベントで見た新73式(パジェロ)の助手席に、本車の車長としての責任を自覚し云々と書かれたステッカーが貼ってあったな。