【鉄道車両のDNA】田園都市から海外まで オールステンレス車の中興、東急8500系

かつて東急線で最大勢力を誇っていた8500系も、いよいよ引退の時期が迫ってきました。導入の経緯などを振り返ってみます。

東急「最大勢力」を誇った車両

 東急電鉄の8500系。かつて新玉川線と呼ばれた渋谷~二子玉川園(現在の二子玉川)間の一番列車から今日の田園都市線まで多くの人々を運んできました。製造両数は400両にものぼり、一時期は東急の車両で最大勢力を誇っていました。

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東急田園都市線を走る8500系。一番新しい車両でも30年近く経過しており、引退の時期が迫ってきた(2018年7月、鳴海行人撮影)。

 東急らしいピカピカしたステンレスの車体が10両つながって多摩田園都市を駆け抜ける姿は、まさに「田園都市線の顔」といえるでしょう。

 しかし、最新編成が投入されてからまもなく30年が経とうとしています。東急電鉄の計画でも、8500系を全て新型車両に置き換えることが盛り込まれています。“走り納め”のタイムリミットが近づく「田園都市線の顔」は、どんな車両なのでしょうか。

8000系の進化形として登場した8500系

 東急電鉄では、オールステンレス車の7000系投入以降、7200系、8000系とその中身を進化させてきました。特に8000系は新玉川線・渋谷~二子玉川園間に20m級車両の投入が決まったことを受け、同社初の20m級車両としてデビュー。主幹制御機のワンハンドル化や界磁チョッパ制御、回生ブレーキといった新技術も導入されました。

 そして1969(昭和44)年からは、東横線や大井町線(1963年から1979年までは田園都市線の一部だった)などで運用され始めます。

 その後、1972(昭和47)年に「相互運転車両に関する覚書」で新玉川線が営団地下鉄(現在の東京メトロ)半蔵門線と相互直通運転することが決まり、半蔵門線の渋谷~三越前間が同年着工しました。そのため、東急が新玉川線に投入する新車両は営団半蔵門線との直通運転を前提にするという条件が加わることになります。

 しかし、8000系はこの条件を加えると電動車比率が低く、地下鉄線内で勾配の押し上げ条件に適さないことや機器類の配置を見直す必要がありました。そのため設計変更を行ってマイナーチェンジした車両、それこそが8500系でした。

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Writer: 鳴海行人(まち探訪家・フリーライター)

1990年、神奈川県生まれ。私鉄沿線で育ち、高校生の時に地方私鉄とまちとの関係性を研究したことをきっかけに全国のまちを訪ね歩いている。現在はまちコトメディア「matinote」や「公共交通×IT最前線レポート」などで交通やまちに関する記事を執筆中。趣味はローカル私鉄やローカルバスに乗ること。

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