クルマの「アースベルト」見なくなったワケ 車体後部から地面に引きずっていたアレの役割

車両の静電気除去、危険物を扱う大型車ではどうしているのか

 車両に溜まった静電気を放電するという役割は、たとえば危険物を扱うタンクローリーなどでは、火災予防の意味をもつことかもしれません。かつてはアースベルトではなく、金属チェーンを引きずって走る大型車も見られましたが、これも目的としては同じで、車体の静電気を大地に逃がすためです。

 特装車の架装メーカーである東邦車輛(横浜市鶴見区)によると、タンクローリーなどにはアースリールと呼ばれる巻き取り式のコードが備わっており、ガソリンスタンドなどで荷下ろしする際には、これを地上設備に接続して静電気を放電するといいます。このアースリール(接地導線)は、ガソリンやベンゼンなど静電気による災害のおそれがある液体の危険物を運ぶ車両には消防法で設置が義務付けられています。

「あくまでも荷下ろし中(停止中)の静電気対策です。一般の人がガソリンスタンドで静電気除去パッドに触れるのと同じようなものかもしれません」(東邦車輛)

 では走行中の車両はというと、じつは、アースベルトのようなものがなくても静電気は地上に放電されています。ブリヂストンによると、タイヤゴムの主成分であるカーボンブラックに電気を通す性質があるうえ、一般的なタイヤにはスチールも内蔵されているので、基本的には走行しているだけで放電されているのだとか。

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シリカが多く配合されたタイヤに採用されている「導電スリット」。導電性が低くなることから設けられているが、そもそもタイヤに含まれるカーボンに導電性がある(画像:ブリヂストン)。

「たとえば、燃費性能やウエット性能を向上させるためにシリカと呼ばれる物質を多く含んだタイヤは、確かに導電性が悪くなることから、導電スリットと呼ばれる微細な溝を付けて静電気の逃げ道を作ることもあります。しかしながら、このような商品もここ10年のあいだに登場したものです」(ブリヂストン)とのこと。近年目立ってタイヤの導電性能が向上したというわけではないといいます。

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