90式戦車などの「○○式」とは? 陸自車両でもついたりつかなかったりする理由

制式化される/されないの違いは?

 一方で、たとえば制式化制度廃止以前の車両であっても「○○式」となっていない装備品があります。1993(平成5)年から調達された「高機動車」や、2001(平成13)年から調達された「軽装甲機動車」などがそれに該当しますが、前述の説明だと、これらも部隊使用承認の申請をする時点で諸元や構造などが決められているはずで、一見して「制式要綱」に必要な情報は揃っているようにも思えます。では、これらはなぜ制式化されていないのでしょうか。

 それは、それらの装備品が民生品の部品を流用するなどし、コストの削減などを図っていることから、特に制式化して、統一の型式にまとめる必要のない装備品であると判断されていたためです。

 つまり、制式化する必要がある装備品については制式化されましたが、そうでない装備品は制式化されていない、ということになります。そのため、たとえば高機動車は「〇〇式高機動車」という命名がされなかったのです。

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陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾。2012年度から調達が開始され「12式」を名乗るが、いわゆる制式制度に則った名前ではない(画像:陸上自衛隊)。

 こうして解説していくと、ある矛盾に気が付きます。それは、制式制度が廃止されたあとの「〇〇式」という装備品の存在です。たとえば、「16式機動戦闘車」や「13式空挺傘」です。これは、一体どういうことなのでしょうか。

 結局のところ、制式化を廃止した後にも「〇〇式」という命名方法については慣例として残ったのです。それは2010(平成22)年度予算で調達された「10式戦車」や、2016(平成28)年度予算で調達が開始された「16式機動戦闘車」などを見ても明らかです。これは、制式制度の廃止による経過措置であると解釈することができます。

 注目したいのが、平成27年10月1日に改正された「装備品等の部隊使用に関する訓令」の附則3項の記載事項です。「旧訓令はこの訓令の施行後も、なおその効力を有し、当該制式の廃止については、従前の例による」と明記されているのです。つまり、これまでの制式制度に則った装備品については、それが廃止されるまで、これまでどおりのルールで扱われるということを示しています。制度変更の過渡期である傍証といえるかもしれません。

【了】

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