90式戦車などの「○○式」とは? 陸自車両でもついたりつかなかったりする理由

制式化廃止後の、名前の付けかた

 制式化が廃止されたあとは、一体どのようにして、装備品の命名を行っていたのでしょうか。それは、「部隊使用承認」という形で行われてきました。

「部隊使用承認」とは、まず自衛隊のあらゆる装備品について、業務車などの防衛専用以外の車両や、築城器材、営舎内の備品等の「通常装備品」と、それとは別に、航空機、火器、弾薬、防衛専用車両、水中武器、電波器材、通信システム、指揮統制システムなどの、国防に必要不可欠な「重要装備品」の2種類に区分します。

 次に、そのなかで特に重要装備品に区分される装備品については、陸海空の各幕僚長が防衛大臣(防衛庁長官)に対して、部隊において使用するための承認を得るために、使用申請をします。この申請内容は、重要装備品に関する「名称」「諸元」「構造」などの型式を統一するために必要な項目が記載されています。

 この申請を受けた防衛大臣(防衛庁長官)は、その申請内容を審査して、部隊での使用が認められると判断した場合に、その装備品の「部隊使用承認」を行っているのです。よって装備品の「名称」は、(制式制度に関わらず)この部隊使用承認を受けることによって命名されるともいえます。

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普通科に配備されている89式装甲戦闘車の銘板(矢作真弓撮影)。
制式化廃止後に採用された16式機動戦闘車の銘板(矢作真弓撮影)。
普通科を中心に配備されている軽装甲機動車の銘板(矢作真弓撮影)。

 ちなみに、この部隊使用承認ですが、制式制度があった時代にも行われていて、通常装備品と重要装備品の全ての装備品が部隊使用承認を受けています。それには、制式化された「90式戦車」なども含まれており、すなわち「制式要綱」と部隊使用承認という、ふたつの文書/手続きを根拠として「90式戦車」を名乗っていたともいえるでしょう。

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