地震の停電でJR北海道「全線運休」の理由 約8割は「電気を使わない路線」なのに?

北海道胆振東部地震による停電の影響で、JR北海道は全線全区間で運休しました。しかし、同社が運営する路線の約8割は、ディーゼルエンジンの列車しか走らない「非電化路線」。電気を使わないはずの非電化路線も含めて全て運休したのはなぜなのでしょうか?

電気が必要なのは「動力」だけではない

 2018年9月6日(木)の午前3時7分ごろ、北海道の胆振(いぶり)地方で最大震度7の大きな地震(北海道胆振東部地震)が起きました。各地で土砂崩れなどの被害が発生したほか、震源地に近い苫東厚真発電所など北海道電力の全ての火力発電所が停止。道内全域が停電しました。

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地震による停電の影響によりJR北海道は非電化路線を含む全線で運休した。写真は非電化路線の宗谷本線(2017年10月、草町義和撮影)。

 大規模な停電のため、交通機関も大きな被害が発生しています。国土交通省の災害・防災情報(9月7日午前5時30分時点)によると、JR北海道や札幌市営地下鉄など道内全ての鉄道路線が停電の影響で運休。線路のゆがみや漏水など地震による直接の被害も発生しています。貨物列車も北海道発着の全列車が運休中です。

 電車は線路の上に設置された架線から電気の供給を受け、台車に搭載されたモーターを回して走ります。電気の供給が絶たれれば走れません。全面的に運休するのも当然といえます。

 しかし、JR北海道は運営する路線の約8割が「非電化路線」です。線路の上には架線がなく、旅客列車はディーゼルエンジンで動くディーゼルカーで運転されます。ヘッドライトや車内の照明、空調などで使う電気も発電機で供給していますから、停電になっても走れないことはないはず。にも関わらず、なぜJR北海道は全線全区間の運転を見合わせたのでしょうか。

 ディーゼルカーは、単に走らせるだけなら外部からの電気の供給を必要としません。しかし、信号装置は北海道電力から供給を受けている電気を使って動かしていますから、停電すると列車を安全に運転できなくなります。

 また、踏切には警報器や遮断機などが設置されていますが、これらも電気で動作。警報器や遮断機が動かなければ、自動車などとの衝突事故が起きる可能性が高くなります。ほかにも、駅の通信設備や車両基地の点検設備など、ありとあらゆるものが電気で動いており、たとえ非電化路線であっても全面的に列車を運行できなくなるのです。

 ちなみに、JR東日本は火力発電所と水力発電所を保有。これらの発電施設から関東のJR線を走る電車に電気を供給しているため、電力会社の停電事故の影響を受けにくくなっています。とはいえ、地上施設を含むすべての電気を自社発電施設でまかなっているわけではなく、停電の規模によっては運休や減便が発生することもあります。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 病院の手術室や集中治療室のための停電時バックアップ電源みたいにディーゼル発電機を要所要所に置いて、信号、踏切警報器遮断器、社内電話が最低24時間くらい維持できるようにすると良いのではないかと。