南シナ海の海自艦艇活動が航行の自由作戦ではない理由 中国へのけん制明らか、なぜ?

日本から遠く離れた南シナ海で活動するワケ

 海上自衛隊の艦艇が日本から遠く離れたインド太平洋地域、とりわけ南シナ海での活動を活発化させていることについて、やはり中国へのけん制という理由が大きいことは間違いないでしょう。

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2018年9月26日の日米共同訓練にて、写真左から「いなづま」「かが」、イギリス海軍フリゲート艦「アーガイル」(画像:海上自衛隊)。

 日本が平時より南シナ海に海上自衛隊の艦艇や航空機を派遣し、そこで存在感をアピールすることによって、もし南シナ海で有事が発生した際には、日本が海を越えてその問題に関わってくるかもしれないという疑念を中国に抱かせることとなるでしょう。そうなれば、いざというときに中国はフィリピンやベトナムなど自分達より戦力の小さい海軍を相手にするだけではなく、より手ごわい相手である海上自衛隊にも対応する必要がでてきます。そうなれば、中国が南シナ海での覇権を握るためにはより強力な戦力を投入する必要に迫られ、結果としてそのハードルがグッと高まることになるでしょう。とくに、今回南シナ海において「かが」との共同訓練を行ったことが明らかになった海上自衛隊の潜水艦は中国にとって非常に厄介な存在となるでしょう。

 潜水艦は海に潜りながら静かに活動する、まさに「海の忍者」ともいうべき存在で、実際に姿が見えなくとも、敵に対して「もしこの海域に潜水艦がいたら……」という恐怖を与えることができます。つまり、今回の異例の訓練公表の理由として、海上自衛隊の潜水艦が南シナ海にいるかもしれないという可能性をあえて示すことで、中国軍に対して活動に関する制約を与えたり、警戒の強化を余儀なくさせたりすることを目的としていたとみられます。

 さらに、海上自衛隊と南シナ海に面する国々の海軍が定期的に共同訓練を行うことによって、お互いの練度の向上や有事の際の相互連携の基礎を築くことができ、いざというときには中国に対して日本を含む多数の国々が連携して対応する、言い換えれば中国を包み込むことができるようになるでしょう。こうしたことによって、南シナ海における中国の動きをけん制することができると考えているのではないかと思われます。

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コメント

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1件のコメント

  1. 大昔に言ううほど脅威でもないシーレーンを言い始めたからじゃないの?
    あの頃はソビエト相手で脅威ではないとは言わないが、今ほど脅威でもないものを予算獲得のために言い始めたら、今は本当に脅威になってしもた。と言う程度だろう。